2016年4月13日付官報で公示された2016年3月30日付登記公証人庁決定は、いくつかの定款の規定が資本会社法と相反するような状況について言及している。

ある株式会社(Sociedad Anónima)は、取締役の決議に基づき、本店所在地をそれまでの所在地と同県内にある異なる市町村へと移転した。これは、2015年5月25日付法第9号の資本会社法第285.2条の内容に従うものであった。

しかし、当該本店移転の登記申請は却下された。その理由として登記官は、当該株式会社の定款内に当該決議と相容れない規定があること、具体的に言えば現行資本会社法の施行前に規定された定款第4条が取締役会に与えている権限は、「同一市町村内で」本店所在地を変更する場合に限られ、したがって、他市町村への本店移転は株主総会の管轄であるとした。この却下に対し異議申し立てが提出され、本件は登記公証局の預かりとされた。

2016年3月30日付の決定において、登記公証局は、会社の定款は、明示的またはその本質的に、またはときには間接的な方法で、常に法に従うものであり、それを構成する規定は法令を補足するものであるため、その解釈にあたっては現時点において有効な法規定が適用されると理解されるべきとの見解を示した。

登記公証局は、この規範を本件に当てはめ、このような相反状態の場合における対応ついて以下のとおり述べた。

「当局が繰り返し定めたとおり、株主は、定款で定めるあらゆる事項について、現行法の縛りを受ける(それが法によって明示され、または性質的にそれが適当であるか、または定款によって法令を補足する規定がされている場合であっても)が、定款の規定は株主がその時々の立法者が望ましいと考える補足方法に従う意思を示すものであると解釈されるべきである。この見解を本件における問題に当てはめると、いかなるケースにおいても、本店移転にかかる経営機関の権限を「スペイン国内における本店移転」へと拡大した法改正によって、取締役会に同一市町村内の本店移転の権限を認める定款の規定も拡大されたと解されるべきであるとの結論となる。適用される法規範は上述の法規定であり、その点については登記官も却下通知において認めている。この結論を認めないと、旧株式会社法第149条、または2015年法第9号以前の資本会社法旧第285.2条を定款に反映した株式会社のすべてが、経営機関にスペイン国内における本店移転にかかる権限を認める新法の施行以降、定款の規定を欠く、またはこれら条文を単に参照しているのみであるとの理由によって不利益を被る結果となりかねない。」

本決定は「本件においては、定款において経営機関に「同一市町村内における」本店移転権限を与えているという事実から、経営機関にスペイン国内における会社の本店移転権限を与えることについて株主がそれと異なる意思を有しているとは認められない。」と結論付け、登記公証局は本件異議申し立てを認め、登記却下については取り消した。

 

 

大友 美加

ヴィラ法律事務所

 

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2016年6月10日