2021年8月6日付スペイン官報にて、2021年7月28日付法的安全・公文書管理局(以下「公文書管理局」という。)決定が公示された。当該決定は、ある有限会社(S.L.)の会社の株主総会が採決した会社にかかる決定についての公正証書の登記申請を、バレンシア第1商業登記書登記官が却下したことに関するものである。

本件において、会社の株主総会は、会社の解散を採決した。当該採決は66.6%の賛成によって承認された。当該会社の定款第13条には以下の規定が定められていた。

「法又は定款に別の定めがない限り、当会社の株主総会の決議は、少なくとも発行ずみ株式の決議権の3分の1を有する株主が出席し、有効に発行された株式の過半数の賛成により行われる。」

「上記の例外として、下記にかかる決議については73%の賛成多数によりなされなければならない。」

「会社の組織変更、吸収合併、解散及び清算」

登記官は、会社定款に定める解散のための定足数を満たしていないことを理由に、登記を拒否した。

これに対し、当該解散決議は、会社の純資産が資本の額の半額を下回る結果となる損失が存在するため、会社は義務的解散事由に該当したために行われたものである、との主張をもとに、会社は異議申し立てを提出された。

公文書管理局は、定款の性質及びその強行規定性は複数の機会において最高裁でも認められているものであることを確認する一方、本件において議論の対象となっている会社の決議は法定解散事由、具体的には、資本会社法第362条及び第363条1eに定める損失の存在に基づく解散であり、同法第364条は当該場合における株主総会決議の定足数は第198条に定める通常決議のもののみが必要と定めていることを説明した。この場合、株主総会によって採択される解散決議は、正当な行為かつ当該損失にかかる科学的宣誓であり、法定の義務的解散事由が存在することの宣誓である。

さらに、公文書管理局は、「これは強行規定であり、定款で定足数の強化を定めることはできない」と付け加えた。同局の2005年5月4日付決定において、株主総会で採択された純粋に自主的かつ裁量的な解散決議は、定款により具体的に強化された定足数による決議を条件とすることが可能であることが確認されたが、「法的解散事由の存在の単なる検証又は確証に基づく決議はこの限りではない」。「この観点から、本件において登記官によって言及された定款規定を解釈しなければならない。登記官はその却下の判断の際に、解散決議に言及した時点から解散決議の前提について何ら区別せず、さらに、法に別段の定めがある場合についても考慮していない。」とした。

そして、当該定款規定は資本会社法第368条で言及されている「純粋な株主総会決議」についてのみ適用されるのであり、本件については適用されない、と結論づけた。

最終的に、公文書管理局は、本件異議申し立てを認め、登記官の判断を取り消した。

 

ヴィラ法律事務所

 

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2021年10月15日