2021年9月23日付記事「スペインにおける株主総会:招集通知の補足資料と認証された請求通知」において、少数株主が行うことができる招集通知補足資料の請求にかかる、会社への「認証された通知」の概念について取り扱った。資本会社法第172条の定めるところに従い、この通知は株主総会招集通知が公示されてから5日以内に会社の本店所在地に到着しなければならない。また、当該通知がすべての法定要件を満たしたうえで実施されなければならないことの重要性について特記した。なぜなら、会社が法定期間内に招集通知の補足請求を公表しなかった場合、株主総会自体及び株主総会で採決された合意のすべてが無効となる可能性があるからである。

2021年5月17日付の法的安全・公文書管理局(以下「公文書管理局」という。)の決定において、法定期間である5日以内に以下の2つの方法で申請をおこなった株主のケースについて分析した。

  • 内容証明郵便(Burofax)上記期間経過後に会社により受領がされた
  • 受領確認付き電子メール 会社の一人取締役である個人による送信同日の既読確認がされたもの

公文書管理局は、送信された電子メールが、電子証明サービス業者によって有効なコミュニケーション送信であること、正確な送信日時、受信、そして内容の真実性及び完全性が証明されたものではなかったことから、招集通知の補足資料請求のための認証された通知が会社の本店所在地において法定期間内に受領されたことが証明されないと理解した登記官の評価を維持した。

本件においては、商業登記所登記官、公文書管理局の両者ともに、送信者が通知受領確認書を受け取ると同時に、受領者が送信の同日に既読を証することを電子メールによって申請したことは、「認証された通知」には該当しないとみなした。

2020年1月3日付サラマンカ県裁判所判決(第13749/2020号)では、株主総会招集通知の補足資料を請求した案件を分析しており、当該第一審は、会社が少数株主から要求された株主総会招集通知の補足資料請求を法的期限内に公表する手続きを実行しなかったとし、当該総会を無効とした。

当該案件では、少数株主はスペイン資本会社法の第172条に定める期間内にBurofaxを送付して「認証された通知」を送信したが、取締役がBurofaxの内容を認識したのは期間が経過した後であった。

本判決は、2013年12月30日付ビスカヤ県裁判所判決に含まれる「認証された通知」の概念を参照し、送信は、

「通知対象者の確実な受領が可能な通信手段、あるいは少なくとも、通知対象者が通常の方法で当該通知を認識できる状態にあることを確実にする通信手段によって」

実行されなければならないと規定した。

上記定義によると、以下の条件を満たすいかなる通信手段も認められこととなる。

  1. 通知対象者の受領が確実である。
  2. あるいは、通知対象者が通知の存在を認識していたことが確実である。

したがって、今回の判決では、通知が期限内に本店住所に届いていれば十分であり、会社が受領を拒否もしくは配達が遅延した場合には、その時点に通知対象者が通知を認識する可能性があったことから、拒否もしくは配達が意図された時点で受領されたと理解しなければならないとの見解を示した。

判決は、取締役がBurofaxの存在を認識した時期にかかわらず、法定期限内にBurofaxにアクセス可能になったかどうかを判断することに焦点を絞った。そして、初回の配達の試みが行われた時点で、少数株主の権利は有効に行使されたとみなし、株主総会招集通知の補足資料が法的な期限内に公表されなかったことから、該当する総会は無効であるととの判断を支持した。

しかしながら、資本会社法第172条の文言が明確でないため、「認証された通知」の概念には法的な疑念が残ると考え、当該理由により、訴訟費用を会社に課さないこととした。

 

 

ボスク・ミレイア (Mireia Bosch)

ヴィラ法律事務所

 

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2021年10月22日