COVID 19感染症の世界的な流行は、様々な国の政府、及び地域レベルの政府に、ウイルスの拡散抑制という健康面の目標と経済への影響を最小限に抑えることを両立させるための法的措置を講ずることを余儀なくしている。

その潮流の中で、カタルーニャ州政府は民法関連の異なる措置を次々と決定しており、具体的には、賃貸借契約に関する措置についてここでは言及する。直近では、当事務所の記事「カタルーニャ州における住居賃料制限」にて解説したように、需要高となっている特定の地域での住居の賃料上昇を制限するための措置を採用したことが、記憶に新しい。

今回は、店舗賃貸借契約に順番が回ってきたようである。カタルーニャ州政府は2020年10月20日付にて、カタルーニャ州勅令法第34/2020号「賃貸借契約店舗物件における事業活動展開支援にかかる緊急措置」を承認した。当該法令は、産業、商業活動を目的とした不動産賃貸借契約が対象であり、継続的な事業活動、ひいては雇用の維持等を目的としている。

本法令は、第一に、契約両当事者の任意を優先事項とし、契約上の善意の原則に従って、賃貸借契約法上の関係に則り合意に至ることを目的としている。これにより、COVID 19の結果として当局に事業活動を制限されている賃借人は、賃貸人に対し、不動産賃貸借契約の修正を要求することが可能となった。当該権利の恩恵を受けるためには、店舗賃貸借契約は1995年1月1日の時点で締結されていなければならず、その要求は、内容証明郵便(burofax)、もしくはその他証明可能な手段で実行されなければならない。

事業閉鎖や活動の制限は、賃借人にとって不利益となり、供与されるサービスのバランスの変更を意味すると法律家は理解している。当該理由により、賃借人が賃貸借契約の修正を要求した時点から1ヶ月が経過しても契約当事者間にて合意に至れなかった場合、賃料を一定の割合で減額しなければならないという義務が規定されている。

店舗における事業活動が完全に停止となっている場合、休業中の賃料及びその他の賃借人負担額を50%減額しなければならないとしている。

他方、事業活動が部分的に制限されている場合は、本制限が持続している間は、賃料及びその他の賃借人負担額は、不動産利用の損失の50%に相当する割合で減額する義務が課されている。本損失を計算するためには、入場者数もしくは開業時間の制限、その他法令によって課される制限に応じて、客観的なパラメータの使用が必要となろう。

こうした賃料減額は、賃借人が賃貸借契約条件の再交渉を要求した実行日以降有効であると理解される。従って、1ヶ月間の交渉期間が経過するまで、あるいは、1ヶ月の期限前に交渉が成立するまでは、賃貸人に対し請求書の発行を禁じている。

本規制では、言及した減額には、デリバリーサービスや、施設内での商品のピックアップサービスの有無は影響しないと定めている。これにより、デリバリーサービスや、ピックアップサービスを実行していることを賃貸人の賃料減額拒否事由にはしてはならないことを示しているように理解できよう。

同様に当事者間の合意がない場合には、賃借人は、賃料及びその他の支払い金額で、支払日に到達した全部、もしくは一部の負担を、賃貸人側の義務の遵守を確保するために、賃貸人に対し要求することが認められている。しかしながら、上記金額からは、法定供託金や公的な管轄機関に供託義務のあるその他の保証金は除外されるとする。但し、賃借人は賃料として使用されたこれらの保証金を、事業活動停止、もしくは制限といった状況が消滅してから1年以内に、もしくは契約残存期間が1年以内の場合には、契約終了前に返還義務がある。

加えて、2020年10月22日以降1年間の間で、事業活動の停止が3ヶ月を超えて命じられた場合(短期間の休業が累積される可能性があると理解している)は、賃借人は、違約金なしでの店舗賃貸借契約の解除が可能とされていることを追記しておく。当該権利は、事業活動停止期間中、及び停止措置が完全に終了されてから3ヶ月が経過する間は、保持されるとしている。本契約解除は、ここでも証明可能な手段をもって、最低でも1ヶ月の事前通知として賃貸人に知らされる必要がある。

 

 

マデロ・ハイメ (Jaime Madero)

ヴィラ法律事務所

 

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2020年10月30日