2020年9月21日、カタルーニャ州政府はカタルーニャ州官報において、2020年9月18日付法第11/2020号住居賃貸借契約における賃料制限に関する緊急措置法を公示した。この法律により、需要高となっている地区における住居の賃料上昇を制限するための必要な措置が導入される。

 

  1. 本法律の対象となる賃貸借契約

本法律の適用を受ける賃貸借契約は、一定の要件を満たしており、かつ適用除外となるカテゴリーに属していないことが必要となる。

本法律第1条によれば、本法律の適用は住宅賃貸借契約のうち、以下の要件に該当するものを対象とする。

a) 賃借人の定住する住居として賃貸がされている住居

b) 住居需要マーケット高騰地域として指定された地区に所在する賃貸住居

つまり、店舗の賃貸借契約や住居需要マーケット高騰地域に所在しない住居の賃貸借契約は、本法律の影響を受けない。

また、本法律の施行前に結ばれた賃貸借契約は、従前の法令の定めに従うものとされる。しかし、当該住居の所在地が住居需要マーケット高騰地域に指定された後に契約の更新が行われる場合で、賃貸借契約の延長または賃料の見直しがされる場合には、本法律が適用される。

他方、以下の賃貸借契約については、本法律の適用から除外される。

(a) 賃料の決定について特別制度の適用対象となっている契約

(b) 1995年1月1日以前に結ばれた契約

(c) 行政保護制度の対象となっている住居に関する賃貸借契約

(d) 社会政策の一環として、公営住宅ネットワーク、住宅補助、または、賃貸住宅基金に属する住居に関する賃貸借契約

(e) 社会福祉の性質を要する賃貸借契約

(f) 義務的社会福祉的賃貸借に適用される法令にしたがって結ばれた賃貸借契約

 

  1. 住居需要マーケット高騰地域

本法律による住居賃貸借契約の住宅賃料上限規制は、住居需要マーケット高騰地域として指定がされた地区に所在する住居に関する賃貸借契約にのみ適用がされる。現時点において、以下の地区となる。: Badalona, Barberà del Vallès, Barcelona, Blanes, Calafell, Castellar del Vallès, Castelldefels, Cerdanyola del Vallès, Cornellà de Llobregat, Esplugues de Llobregat, Figueres, Gavà, Girona, Granollers, L’Hospitalet de Llobregat, Igualada, Lleida, Manlleu, Manresa, Martorell El Masnou, Mataró, Molins de Rei, Montcada i Reixac, Montgat, Olesa de Montserrat, Olot, Palafrugell, Pallejà, Pineda, El Prat de Llobregat, Premià de Mar, Reus, Ripollet, Rubí Sabadell, Salou, Salt, Sant Adrià de Besòs, Sant Andreu de la Barca, Sant Boi de Llobregat, Sant Cugat del Vallès, Sant Feliu de Guíxols, Sant Feliu de Llobregat, Sant Joan Despí, Sant Just Desvern, Sant Pere de Ribes, Sant Vicenç dels Horts, Santa Coloma de Gramenet, Santa Perpètua de Mogoda, Sitges, Tarragona, Terrassa, Tortosa, El Vendrell, Vic, Viladecans, Vilafranca del Penedès, Vilanova i la Geltrú と Vilassar de Mar。

 

  1. 初期賃料の決定

原則

a) 初期賃料は、同一の都市環境で同様の特性を有する住居の賃料の基準価格を超えることはできない。

b) 本法律施行前5年間に賃貸がされている住居の場合、初期賃料は、適切に更新された賃貸借契約に記載がされた賃料を超えることはできない。

なお、上記 b)の基準は、以下の場合には適用がされない。

(a) 本法律施行前に締結された最後の賃貸借契約を結んだ当事者間に親族関係があった場合

(b) 適用されていた賃料決定特別制度が終了し、当初は本法律の適用外であった住居に関して、賃貸借契約書が締結される場合

賃貸人が自然人の場合で、その世帯収入額がカタルーニャ州の所得指標の2,5倍以下である場合には、最後の賃貸借契約に定められた賃料を上限とする規制のみが適用される。ただし、賃貸人の所得がカタルーニャ州の加重所得指標の3,5倍を超える場合には、上記は適用されない。

もし一つの住居が異なる当事者に影響を与える複数の有効な賃貸借契約の目的となっている場合、複数契約において合意がされた賃料の総額が当該住居の単一賃貸借に適用される賃料上限を超えることはできない。

 

  1. 基準価格

基準価格は、州政府のウェブサイトからアクセス可能な不動産賃貸価格指数に基づいて設定される。当該指標は参考価格(ウェブサイト上、赤字にて表示)であり、価格設定上下の余白を留意していない。

しかしながら、賃貸人は、以下の2つのいずれかに該当する場合は、5%を上限としての値上げを提案することが可能とする。

(i) 前年度に居住性、安全性、快適性、またはエネルギー効率を向上させる改修工事を実施した場合、もしくは (ii)対象物件が、エレベーター付、駐車場付、家具付、冷・暖房システム完備、共用のコミュニティエリア、共用プールまたは類似の設備、建物内のコンシェルジュサービス、特別な眺望という条件の中、最低3条件を備えている場合。

 

  1. 新築物件又はリフォーム物件

新築住宅もしくは重要な改修工事を行った住宅の場合、契約開始時に合意した賃料は、同一地区において類似の特性を有する住宅の価格基準指数の上限を、工事完了証明書の取得後5年間は超えることはできない。ただし、工事の遂行のために公的補助金を取得した場合は、この限りではない。その場合は、当該制限規定の発効は3年遅れることとなる。

 

  1. 施行日

当該法律はカタルーニャ州官報への公示翌日、2020年9月22日付施行とする。

 

 

露木美加

ヴィラ法律事務所

 

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2020年10月16日