スペインにおける倒産特別手続き(Incidente concursal)にかかる規制は2022年9月5日付法第16/2022号改正倒産法(以下「改正倒産法」という)で改正対象となっていないことから、旧倒産法の規定が現在でも有効である。

適用範囲:倒産手続き中に生じ、改正倒産法内で取り扱いがないあらゆる問題、及び裁判官に提起されるべき倒産事件訴訟は、倒産特別手続きの手順に従って処理がされる。

手続き処理: 2000年1月7日付スペイン法第1/2000号民事訴訟法において口頭弁論のために設定された方法で行われるが、倒産法で定められて専門性が考慮される。

証拠提出: 原則として、第一回目弁論時に書面(訴状及び答弁書)によって提出がされなければならず、裁判所決定によりその採択が行われる。

当該一般規則は、判例の中でも特に、2022年12月28日付バダホス県地方裁判所判決(ECLI:ES:APBA:2022:1647)において証拠提出の権利に関して以下のように説明がされている。

憲法上の教義として繰り返し宣言しているように、我々は法制度で確立された法的枠組みの中で手続きを行わなければならない法により定められた権利に直面している(2000626日付憲法裁判所判決第173/2000号法的根拠第3及び1988927日付第167/1988号法的根拠第2)。そして、この法的枠組みでは、倒産手続き中の証拠方法の提出は訴状または答弁書に伴ってなされなければならない

一般原則の例外は、2つ存在する。

第一は、原告は、訴状への抗弁として被告の主張の結果、明らか利益が明らかになった内容に関する書面証拠方法の提出である。

この例外はとりわけ、20221020日付ムルシア地方裁判所判決(ECLI:ES:APMU:2022:2554)で言及されており、原告の債権者は「倒産特別手続きにおける、弁論時の書面証拠の提出は、民事訴訟法第265条によって保護され、旧倒産法第539.1条の憲法解釈によって課せられる。

各々の請求を裏付けるもの(原告の場合は訴訟物を構成する事実、被告の場合は消滅、排他的または無力化した事実)に限定されているが、被告による抗弁で述べられた事実を歪曲することを目的としたものには言及していないとの理解から、これらの主張に反論することを目的とした証拠書類を提出できる」とし、権限を与えられていると明記した。

この第1の例外の具体例は民事訴訟法第338条に見ることができる。本条は両当事者に対し訴状への抗弁において必要性または有用性が提起された意見を提出することを認め、相手方当事者への転送のため少なくとも口頭弁論期日の5日前までに提出しなければならない、としている。

第二の例外は、日付や認識又はそれらを取得する可能性に着目した事実に関する以下の証拠方法の提出である。 (i) 訴状提出日又は抗弁書提出日以降の日付のもの(ただしそれらが当該手続きの時点よりも前に作成、又は取得されていない場合に限る) (ii) 当該証拠を提出する当事者が、以前にそれらの存在を認知していなかったことを正当化する場合には、以前の日付のもの (iii) 当事者の帰責事由によらず以前に当該証拠を取得することができず、その指定があらかじめなされていた場合。以上の場合においては、相手方当事者は口頭弁論において法的前提のいずれにも該当しないため当該証拠は認めることができないという主張をすることができる。裁判所はその場において速やかに判断し、訴訟を遅延させる意図や悪意が認められた場合には証拠提出を試みようとした当事者に180ユーロから1200ユーロの罰金を課すことができる。

この場合の口頭弁論は、民事訴訟法に定める方法で実施されるが、倒産特別手続きについては改正倒産法に定める専門的な内容が適用される。特に注目に値するのは、訴訟当事者に課される証拠採取後の口頭で結論を出す義務である(口頭弁論とは異なり、この手続きは必須ではない)。

最後に、“ficta confessio”(推定自白)は裁判所の裁量権であり、当事者の尋問が適時かつ適切になされた場合にのみ機能し、いずれの場合でも、それを適用する前に裁判所は「紛争の主題である紛争の関連事実を立証するための他の十分な証拠があるかどうかを検証しなければならない(2021年1月21日付最高裁判決第21/2021号)と強調した。(マドリード地方裁判所2021年10月15日付判決(ECLI:ES:APM:2021:12739)

 

 

ボスク・ミレイア

ヴィラ法律事務所

 

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2023年2月10日