リモートワークに関する法律10/2021(7月9日)が2021年7月11日に施行され(以下、「本法」という。)、リモートワーク合意について規定している。
そこで、リモートワーク合意の締結時期、合意の内容、合意締結後の手続きについて概要を説明する。
I.- 「リモートワーク」の定義
同法は、「リモートワーク」を、労働日の全部又は一部において、労働者の自宅又は労働者が選択した場所で、定期的に業務が行われる労働組織形態又は労働活動の実施形態と定義している。
「定期的」なリモートワークとは、3カ月の基準期間中に、労働日の少なくとも30%、又は雇用契約の期間に応じてそれに相当する割合の業務が行われることを意味する。
例えば、ある従業員が週5日、1日8時間の勤務を続けているが、リモートワークが週1回しかない場合、これは労働日の20%に過ぎず、「定期的」とはみなされない。従って、このようなリモートワークは以下に示す規制の対象とはならない。
II.- リモートワーク合意の特徴
リモートワークを開始する前に、同法に規定されているリモートワーク合意を結ぶ必要がある。
この合意は書面でなければならず、雇用開始時の契約の一部とすることも、後の時点で結ぶこともできる。
リモートワークは従業員と雇用主の「自発的」なものである。
当事者の一方が望んだとしても、強制することはできない。
対面勤務からリモートワークに変更することは、会社にとっても従業員にとっても「可逆的」である。
III.- リモートワーク合意の内容
以下の事項を合意に定めるべきである:
– 合意されたリモートワークを実施するために必要な手段、機器、道具の目録;
– リモートサービスの提供の結果、労働者が負担する可能性のある費用のリスト、会社が支払う義務のある報酬の定量化の形式、及び支払いの時期及び形式;
– 労働者の労働時間、及び適切な場合、稼働率に関する規定;
– 該当する場合、対面勤務とリモートワークの割合及び配分;
– 該当する場合、リモートワーク・対面勤務の移行を行うための通知期間;
– 会社が業務を管理する手段;
– リモートワークの正常な遂行を妨げる技術的な問題が発生した場合に従うべき手順;
– リモートワーク契約の期間
IV.- 合意締結後の手続き
会社は労働者代表に対し、すべてのリモートワーク合意の写しを、締結から10日を超えない期間内に提供しなければならない。
その後、この写しをOficina de empleo(職業安定所)に送付しなければならない。労働者代表がいない場合、基本的な写しも正式に作成し、Oficina de empleo(職業安定所)に送付しなければならない。
V-. 労働協約
労働協約は、「定期的」の定義を含め、リモートワークの労働条件を定めることができる。
したがって、リモートワークを検討する際には、自社に適用される協約を把握しておくことが重要であり、専門家に相談することをお勧めする。
南智士 (Satoshi Minami)
ヴィラ法律事務所
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2023年7月28日