時に会社は、財務上の問題解決のため、ビジネス上の投資やプロジェクトの実現のために、資金調達を行う必要がある場合に直面する。そのような必要性をカバーするためのオプションの一つに、株主による資金調達がある。

株主による会社の資金調達方法には多様な選択肢があるが、以下に、資金調達の結果自己資本が増加するのか、負債と計上されるのかに応じて、会計上の強制力が低い順から高い順にその内容を説明する。

  1. 増資という形での株主からの資金提供
  2. 増資を伴わない株主からの資金供与
  3. 資本性ローン(劣後ローン)

1)資本金増資による自己(株主)資本増強(プレミアムの有無を問わず)

増資という形での自己(株主)資本への株主からの資金供与は、その呼び名が示す通り、全て資本金として計上される。この方法は、他に比べて多くの手続きを要する。増資を行うには株主総会の承認決議が必要であり、同総会決議は、定款の変更のために定められた要件を満たす必要があるからである(スペイン会社資本法第296条規定)。その後、当該承認決議にかかる公正証書を作成し、管轄自治体の税務当局に、公証役場及び商業登記所の費用とともに税金の精算を行うための600様式を事前に提出した後、商業登記所にて本公正証書の登記申請をする必要がある。

会計上の観点からみると、会社の増資は、「資産移転及び法的文書税に関する法律」第19条第1項の1により会社取引と規定されており、同法の第45条B)第11項により、「会社取引」にかかる税から免除される。 

2)増資を伴わない株主からの資金提供

株主による資金提供が、増資を伴わない場合は、会計上、純資産として計上され負債とはみなされず、株主の債権も発生しない。これは資産と負債の間のハイブリッドの役割を果たし、埋没費用(サンクコスト)として処理される。当該資金提供の返済に関しては、商法上の規制が欠如しており、通常、資本準備金と同様の扱いがされ、配当金分配に関する規定と同様の規制が適用される。

株主による自己資本への資金提供は、特定の状況を除いて株主総会の決議を要しない。しかし、損失を相殺するために行うのか、自己資本の増強のために行うのかを記録しておくことが推奨される。当該手続きについて公正証書を作成する必要も、商業登記所に登記をする必要もない。したがって、公証人や登記の費用も発生しない。

会計上の観点では、株主による自己資本への資金提供は、「資産移転及び法的文書税に関する法律」第19条第1項の2により会社取引と規定されており、同法の第45条B)第11項により、「会社取引」にかかる税から免除される。

3)資本性ローン(劣後ローン)

事業活動のための他の資金調達方法に、株主向けの資本性ローン(劣後ローン)がある。通常のローンと異なる点は、この形による借入れは会計上負債の部ではなく会社の純資産の部に計上されることにある。

資本性ローンに関する規定は、1996年6月7日付勅令法第7/1996号、緊急財政措置及び経済活動の促進と自由化に関する法律の第20条に以下のように記載がある。

「第20条 資本性ローン

資本性ローンとは以下のような性質を持つもののことを指す。

a) 貸主は、融資先企業の事業活動の業績に基づいて定められる変動利息を受領する。本業績を決定する基準は、純利益、売上高、総資本金額、もしくは契約当事者間において自由に合意された他の基準であっても良い。また、会社の業績から独立した形で、固定金利を定めることもできる。

b) 契約当事者は、早期弁済の際の罰則条項を定めることができる。いずれにせよ借主は、資本性ローンの弁済額と同額分だけ自己資本を補填する場合、かつ、これが資産の状態に変更を生じさせない場合にのみ、早期弁済が認められる。

c) 資産性ローンは、共通の債権者との弁済順位において、一般債権者の後になる。 

d) 資本性ローンは、商業法規に規定されている会社の資本減少及び清算の際に、純資産とみなされる。」

上記の条項は、以下のように追記される。

a) 資本性ローンは、借主である企業が事業の業績に応じ変動利息を支払うことを可能にし、同時に、固定金利を合意することも認めている。

b) 他のローンと同様に、資本性ローンも民法第1740条の規定にあるように、融資金額を一定の期間で返済する条件を定めなければならない。早期弁済は一応認められてはいるが、自由裁量では行えず、償却額と同額の増資を行わなければならない。当該制限の理由は、同額の自己資本を維持することによって、債権者を保護することにある。

c) 資産性ローンは、倒産手続きにおける普通債権の債権者への弁済がされた後にその債権の弁済がされる、劣後債である。

d) 純資産と資本金のバランスが崩れた場合、資本性ローンは、純資産として計上される。

手続きにおいて資本性ローンは商業契約として扱い、公正証書作成も商業登記所への登記も要さない。したがって、公証人や登記の費用も発生しない。

 

 

ヴィシャビセンシオ・カルラ (Carla Villavicencio)

ヴィラ法律事務所

 

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2018年9月14日