2023年12月20日付にて,EU司法裁判所(CJEU)は、「欧州スーパーリーグ」創設にかかる待望の判断(案件番号: C-333/21号)示した。
当該判決は、欧州にある12のサッカークラブによって設立された法人European Superleague Companyが、国際サッカー連盟(FIFA)と欧州サッカー連盟(UEFA)を被告として訴えた請求に関し、マドリード市第17商事裁判所がEU司法裁判所に照会した予備判決に由来する。原告は、FIFAおよびUEFAが定める大会運営と放映権認可に関する規制は、EU法に反すると基本的に考えていた。この手続きは、FIFAとUEFAが欧州スーパーリーグ創設に参加しようとしたクラブとその選手に対して罰金を科し、両連盟主催の大会からこれらのクラブ、選手を排除すると脅したことから始まった。
ここでは、新規にいかなるクラブ大会プロジェクトを EU加盟国内で創設する場合には、FIFAとUEFAの内部規制により、両連盟の事前承認を受けなければならないと定めていることが問題視された。原告は、このような規定は、競争の制限と支配的地位の乱用を禁止するEU機能条約101条および102条の侵害にあたると考えた。
EU司法裁判所は、本件がEU機能条約第102条に抵触する可能性に関して、EU領域内において、第三の事業者が新規にクラブ大会の創設をする場合、FIFAとUEFAの事前認可の対象とする場合、当該権限実行時に客観的かつ非差別的な透明性確保を可能にする重要な基準および規則に従っていない場合、支配的地位の濫用にあたるとの見解を示した。FIFAとUEFAの権限は、上記のような性質の基準を適用しておらず、ゆえに両連盟は支配的地位を乱用している、と判断した。
しかしながら、EU司法裁判所は、プロサッカースポーツという特殊性を考慮し、将来の開催予定の大会がEU域内のスポーツモデルへの準拠の保証のために、両連盟の事前許可取得を要件とすることは、それ自体が支配的地位の侵害を構成するものではないとみなした。しかしながら、支配的地位の濫用を回避のためには、この場合、認可を規制する規則が前述の基準と手続きに従うことが必要であると考えた。
EU機能条約第101条(競争制限となる可能性のある行為)に関しては、FIFAおよびUEFAの規制は、あらゆる競合企業や、同等に有能な企業をEU市場から排除しないために、少なくとも、その形式や内容を理由に、代替もしくは新設の大会の設立やマーケティングに制限を課すことを認めるとの判断を示した。本件では、FIFAとUEFAの規制は前述の基準の対象外であることから、自由競争を妨げるが目的であると理解される。したがって、EU司法裁判所は、EU機能条約第101条の侵害も伴うと理解されなければならないと結論づけた。