欧州議会は、先日4月20日、暗号資産マーケット規制に関するMiCA(Market in Crypto Assets)規則案を可決した。本規則は、EU指令第2019/1937号を改正するもので、EU域内企業に対し、統一的な運営条件を確立することで、デジタル金融を促進することを目的としている。当該規則は、これまで規制の存在しなかった暗号資産に関する法的確実性を提供する、世界初の法律となる。

当該規則は、暗号資産の発行者、プロバイダーに適用され、暗号資産サービスプロバイダーに対し、資産の発行、運営、組織化、ガバナンスに関する透明性や開示条件、マネーロンダリング防止法、消費者保護法、市場濫用規制措置への準拠を求める。2024年末もしくは2025年初頭に施行予定である。

暗号資産のパブリックオファリングは規制されている。発行者は法人格を有し、暗号資産ホワイト・ペーパー(白書)を作成・公表することが求められ、当局の精査を対象となり、場合によってはパブリックオファリングの停止や禁止、条件の変更を課される。

発行者は利益相反に関する新たな要件の適用を受けることにもなり、経営組織の変更、ガバナンスシステム、自己資金と安全で低リスクの資産に限定する資産準備金への投資の当局への通知義務を課している。

の構築、自己資金と準備金、また資産準備金の投資を安全で低リスクの資産に限定する。同様に、トークン保有者への預金利息を禁止した。

EU域内で電子マネートークンをパブリックオファリングするためには、発行者は信用機関もしくは「電子マネー機関」としての認可を受け、加えて、事業を手順よく清算するための手続きを有していなければならない。

I当該規則は、異なるタイプの暗号資産を規制し、その対象は、i) 証券や権利にリンクされているため安定的「ART」型トークン (ii) 「EMT」型電子マネートークン、そして (iii)「ユーティリティー・トークン」等である。発行者自身が提供するサービスや製品の提供にアクセスするために機能するものである。一方、当該規則は、「DeFi」(分散型金融)、セキュリティトークン、NFT(非代替性トークン)については規制しない。

EU議会は、当該規則に並行して、金融機関に特定の送金に関する通知を義務付ける「トラベルルール」等、金融取引の保証を目的とした、資金送金や特定の暗号資産送金情報に関する規則案を承認した。

これらの規則の承認は、暗号資産のより高い安全性を保証し、結果的により多くの消費者の信頼を獲得する。ひいては、低リスク・低ボラティリティのデジタル通貨を導入するエコシステムの構築を可能とする。

 

ヴィラ・オスカル (Óscar Vilá)

ヴィラ法律事務所

 

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2023年4月28日