2016年3月23日、従来の欧州共同体商標規則を改正する欧州連合(EU)規則第2015/2424号が施行された。当該改正規則には、新たに欧州連合知的財産庁(EUIPO)となった管轄官庁の名称変更、欧州連合商標(EUTM)となった欧州共同体商標を表す名称変更および商標の手数料システムの改定が、他の改正とともに含まれる。

他方、従前の規則には、二次法による実装が必要な条項が複数含まれており、これらは2017年10月1日に施行予定となっていた。最終的には、欧州連合商標に関する規則の特定の条項を実施するための細則を欧州連合(EU)実施規則第2017/1431号において規定し、欧州委員会委任規則第2017/1430号によって補完されることとなっている。

上記二つの規則の主要な改正点を、以下に3つ掲げる。

  1. 商標の視覚的表示とその種類
  2. EU証明商標
  3. 手続きの変更

商標の視覚的表示要件条項は今後必須要項ではなくなり、一般的に利用できる技術を使用すれば、あらゆる形式で表記することが可能になった一方、その最終的な表示形態は明確かつ正確で不備の無いこと、わかりやすい場所に読み易く示され、且つ耐久性と客観性を備えることが求められる。

本改正の目的は、利用者の法的確実性を高め、手続き時の異議申立件数を減らすことにある。 そのために、実施規則第3条は、技術要件を含む、最も一般的な種類の商標の提示のための規範および特定の要件を確立する。

最も頻繁に利用される種類の商標の技術要件の要約を以下の表に示す。

商標の種類 説明の要否 フォーマット要件
名称 指定なし
造形 JPEG
形状 JPEG OBJ STL X3D
位置 随意 JPEG
パターン 随意 JPEG
色彩 (単色) JPEG
色彩 (二色以上) 随意 JPEG
音声 JPEG MP3 (最大2 Mb)
動き商標 随意 JPEG MP4 (最大20 Mb)
マルチメディア MP4 (最大20 Mb)
ホログラム JPEG MP4 (最大20 Mb)

EU明商標は、商品あるいはサービスの素材、製造方法、サービスの提供方法、品質、精度あるいはその他の特性に関して差別化を可能とする新しい商標である。

証明商標は、本商品及びサービスが、使用規則に則り商標の所有者の責任下で管理されており、所定の規格に準拠していることを示す。

証明商標の申請者は、申請日から2ヶ月以内に、証明商標の以下の条件を含んだ使用規則を提出しなければならない。

  1. 商品あるいはサービスの特性
  2. 証明商標の使用を規定する条件
  3. 商標所有者によって適用されるテストおよび監督措置

一方、規則には、商標所有者が遵守しなければならない一連の制限事項が含まれている。

  1. 証明商標の名義人は、証明商標を用いた事業活動を行うことできない。
  2. 証明商標は、地理的な出所に関して証明された商品またはサービスを区別する目的で出願することはできない。

最後に、EU商標の申請手続きの変更に関して、以下に主な改善された点を示す。

  • 優先権主張は、商標出願時に同時に提出されなければならない
  • 二次的請求及び代替的請求は、申請手続きの開始時あるいはそれ以降にも提出できる
  • 異議申立/及び取消手続きの許容性と正当化の要件が改正され、より明確となった
  • 根拠となる書類は、電子的手段によって提供することが可能となった
  • 根拠となる書類は、EUの全ての公用語で提出することが可能。欧州連合知的財産庁(EUIPO)が要求した場合にのみ翻訳が必要となる
  • 欧州連合知的財産庁とのコミュニケーション手段が近代化された
  • 審判部に関する規定が、一つの法的文書にまとめられた

 

 

ブランコ・ペドロ (Pedro Blanco)

ヴィラ法律事務所

 

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2017年8月25日