来る7月20日、欧州連合(EU)で二つの新たな規則が施行される。以下の当該規則は、それぞれの加盟国で国内法に置き換えることなく、EUメンバー国に直接適用される。

・非EU加盟国からの補助金を受けた物品の輸入に対する保護に関する2016年6月8日付欧州議会及び欧州理事会規則2009年第1037号。これに伴い、EU規則第597号が廃止され、補助金措置の適用のための規定及び条件が設けられる。

・非EU加盟国からのダンピング輸入防止に関する2016年6月8日付欧州議会及び欧州理事会規則第1036号。これに伴い、EU規則2009年第1225号が廃止され、EUにおけるアンチ・ダンピング措置を適用するための手続きが定められる。

(両規則とも2016年6月30日付けEU官報で公示された。)

EU規則2016年第1037号によると、ある国の領域内において公権力または公的機関による金銭的な寄与があった場合、または1994年のGATT第16条の観点における価格に関するあらゆる入金または支援が存在した場合で、かつ、結果として補助金を受けた企業が利益を得た場合に、補助金があるとみなされる。

また、EU規則2016年第1036号によれば、輸出国内での一般的な商取引における同一の製品の比較可能な価格よりもEU域内への輸出価格が低い場合、その製品はダンピング対象品目とみなされる。

このような場合、EU域内市場において対象品目の本来の競争力はどのように立て直すことができるのだろうか?

同一の製品を生産するEU域内の業界団体、もしくはEU域内で完成品となる当該製品の主要部分を製造する生産者らが携わるEUの産業が、EU域外国から輸入される同一の製品により損害を被り、これらが輸出国における補助対象、すなわちダンピング対象品目である場合は、欧州委員会もしくはEUメンバー国を通じて同委員会に提訴することができる。

この告訴は、EU域内の業界、もしくは同一の製品の域内総生産50%以上に該当するEU域内業者団体の支持がある場合は同業界が提訴の是非を表明した上で代理して行う。しかし、提訴の支持を表明するEU域内業者団体の同一の製品の域内総生産割合が25%に満たない場合、いかなる調査も実施されないことを考慮しなければならない。

一方、提訴が行われずとも、EUメンバー国が補助の供与、もしくはEUの産業に打撃を与えるダンピングが行われていることを示す十分な証拠を得た場合、これらの証拠は欧州委員会に提出される。

これを受けて、欧州委員会は調査開始を決定するに足る十分な証拠であるかを検討するが、その如何を問わず、調査開始前に原産国または輸出国の政府に対し通達を行う。

調査の過程において、欧州委員会は相殺関税、あるいは暫定アンチ・ダンピング税の適用を定めることができるが、これらは以下に代表される条件を保証し得るものでなければならない。

–  輸入品目が補助金もしくはダンピングの恩恵を受けていると予備的に判断される。

–  EU域内産業に損害を及ぼしていると予備的に判断される。

–  EUの利益を鑑み、同損害を解消するため措置を取る必要があると判断される。

調査の結果、最終的に相殺関税あるいはダンピング税が適用できる損害が認められ、加えてEUの利益のため措置を取る必要があると判断された場合、欧州委員会は相殺関税あるいはダンピング税の適用を正式決定する。同決定は、再調査の対象とならない限り5年間有効とされる。上記の相殺関税あるいはアンチ・ダンピング税の適用は、暫定、正式のいずれもがEU官報により公示される。これにより各EUメンバー国は、適用方法、品目、その他の事項を定めた該当規則を受領する。(通常は該当するメンバー国の税関当局が受け取る)

 

 

ビシャビセンシオ・カルラ (Carla Villavicencio)

ヴィラ法律事務所

 

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2016年7月8日