企業間における効果的な競争の存在は、市場経済を構成する重要な要素の一つである。自由競争を保障するためには競争に関する制限が存在しない方が好ましいと考える者も中にはいるだろう。しかし、近時において自由競争は、その言葉とは反対の効果をもたらすような行為に発展する可能性があると考えられている。したがって、ヨーロッパ市場においては、欧州機能協定(Tratado de Funcionamiento de la Unión Europea)によって自由競争についての規制がされ、競争を偽るような目的を持った行為は禁止されている。
製造者側がそのディストリビューターに対し価格を決定することが競争に関する法令に反するかどうかを判断するためには、以下のいずれの種類の合意なのかを区別しなければならない。
1.再販売時の定価の決定
2.再販売時の最低価格の決定
3.再販売時の最高価格の決定
4.再販売時の希望価格の提示
原則として、上記の4つの行為は市場競争を阻害する行為であるため、 EU域内では禁止されている。しかしながら、ディストリビューターによる当該商品の仕入れ価格を下回るような価格での商品の販売 、すなわち、不当廉売は別の形で規制されている。
ただ、上記の原則禁止の例外として、2010年欧州規則第330号は、最高価格の決定及び希望価格の提示について、ディストリビューター及び製造者が当該市場で占めるシェアがそれぞれ30%に達しない場合には許容するとしている。
最高価格の決定及び希望価格の提示を例外として認めることは、取引やディストリビューションにかかるコストを削減することで、販売網の経済効率、そして販売及び投資のレベルの最適化にとって資するといえる。
EUの立法者は、企業のマーケットシェアが30%に満たない場合、消費者が商品を選択する余地があることから当該企業は競合他社との競争にさらされており、最高価格の決定または希望価格の提示により得られる利益は、競争阻害による損害を上回るものであるし、販売網の効率を最適化することは、商品またはサービスのエンド・ユーザーにとって好意的に働くとの理解に基づいている。
したがい、製造者側がそのディストリビューターに対し、再販売時の定価の決定及び再販売時の最低価格を決定することは、競争に関する法令に反するが、一方でディストリビューター及び製造者が当該市場で占めるシェアがそれぞれ30%に達しない場合に限り、 再販売時の最高価格の決定及び再販売時の希望価格の提示については許容されることとなっている。
ヴィラ法律事務所
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2015年3月27日