汚染者(原因者)負担原則」は、環境法の基本原則であり、過去何十年にもわたって欧州各国の立法者の規範となるものであった。この概念の具体的な法律への置換は、他の方法とともに、スペイン語の略称でRAP( la responsabilidad ampliada del productor )英語ではEPR (Extended Producer Responsibility)と呼ばれる、製品から発生する廃棄物の管理責任を、製造者に転嫁することを目的とした概念によってなされてきた。

当該原則は、2008年11月19日付EU指令第2008/98/EC号第8条に定義されており、廃棄物の再利用、防止、リサイクルおよび回収を改善するための措置を加盟各国が採用する権限を与えている。これらは、生産者が、複数の用途に適し、技術的耐久性を有し、廃棄物となった後も環境に配慮した処分が可能となるような製品の開発・生産・販売にインセンティブを与える施策である。当該施策は、厳密に言えば、製品から発生する廃棄物の処理費用を製造者が負担すること、消費者や行政、環境に直接影響を与えないように保証がすることを目的としていた。

2022年4月10日付にて、循環型経済のための廃棄物と汚染土壌に関する法律第7/2022号がスペインで施行された(新廃棄法)。これにより、拡大生産者責任に関する新しい規制の枠組みが確立され、生産者はこれを認識し遵守することが義務付けられることとなった。当該法律は、2018年5月30日付EU指令第2018/851号を移行し、廃棄物および汚染土壌に関する2011年7月28日付スペイン法第22/2011号を廃止、置換するもので、旧法に比較すると、2つの重要な改正点が組み込まれている。 

第一に「生産者」概念が拡大され、職業的に製品を開発、製造、加工、処理、販売、輸入する自然人または法人に加え、以下の該当するものも含まれるようになった。

(i)「充填」製品

(ii) 遠隔契約による製品販売

(iii) 国外に設立された電子商取引プラットフォームによる販売者(EC業者)。販売者はスペインにおいてEPR登録されておらず、EPRレジームの義務を遵守していない場合。

第二に、新廃棄法第37条は、生産者が負うべき義務を定義した。生産者は責任を拡大され、特に以下に挙げるような義務を負う可能性がある。

(i) 環境負荷が更に少ない製品、及びその構成部品の設計

(ii) 再利用可能製品の返品を可能とすること。製品使用後に発生する廃棄物の引取り。廃棄物管理およびこれらの活動に対する金銭的責任を負うこと。

(iii) 一般消費者に対し、製品の耐久性、再使用性、修理性、修復性、リサイクル性に関連する特性について、容易に入手可能な情報を提供

(iv) 製品の製造時、廃棄物から派生する材料を使用

(v) 製品保証期間の延長

(vi) 消費者の修理する権利確保のために必要な条件を遵守

(vii) 製品の早期陳腐化の可能性を評価するために、製品特性に関する情報を提供

廃止された旧廃棄法第22/2011号にも定められていたように、生産者の特定の義務は、技術的・経済的実現可能性、環境及び人的健康への全体的影響、域内市場の適切な機能の確保の必要性を考慮して、閣僚会議の勅令で決定されることとなる。新廃棄法はその目的からして著しく野心的な規制として始まったが、生産者が生産者が講じる必要のある具体的なコミットメントの内容や範囲については、まだ明確となっていないおらず、これを待つ必要がある。

 

ルビオ・ジョアンルイス(Joan Lluís Rubio)

ヴィラ法律事務所

 

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2022年4月14日