欧州議会及び欧州理事会規則2017年第352号はスペイン及び欧州の港湾システムを大きく変えるものと考えられる。
本規則は、2019年3月24日に施行されるが、異なる欧州の港間の競争を促進するものであり、世界レベルでの競争力を強化する狙いがある。概して言えば、加盟国の経済を強化するための新たな物流ネットワークを構築することを目的として、港湾システム及び物流システムの様々な局面において改善するものである。
本規則は第1条で港湾システムに設けられる変更について定めている。
- 港湾サービスの提供のための枠組みを設ける。本規則で規制される港湾サービスとは以下のものである : 燃料の供給、荷物の操作、係留、乗客へのサービス、貨物の残留物及び船舶廃棄物の回収、水先案内、タグボート。
- 財務の透明化及び港湾サービスと港湾インフラの使用料に関する共通ルールを設ける。
上記2.にあたる措置は、とりわけヨーロッパ港湾管轄当局間の透明性及び自由競争を促すような法的枠組みの確立に資することになり、ひいては、ヨーロッパの港湾を国ごとの港湾施設ではなく、同じ法制度に則る、統合、統一、調和されたヨーロッパの港湾施設とみなされるようにするといった本規則の制定目的の実現に寄与するため、最も重要なものとなる。
本規則おける最も重要な点を以下に挙げる。
1. 港湾サービスの提供に関して、本規制第3条は、同サービスを提供する市場へのアクセスには様々な要件が課されることとしており、サービス提供者数の制限や、公共サービスの義務をサービス提供者に対し課すことが可能となり、さらには、内部オペレーターに関しても規制を設けることができる。
2. 本規則の適用は、EU加盟国の自国内の労働、労働規約に影響を与えることはない。つまり、本規則を自国法に適用するに際して、一般的に、自国の労働法、労使協定及び労働者の権利を尊重しなければならない。
3. 本規則第3章は、財務の透明性及び自治性を規定する。つまり、管轄当局、港湾施設の管理機関及び港湾サービスを提供する他の団体の間における財務関係は以下に挙げる点において、透明性の高い会計処理を求められている。
a) 港湾施設管理者の管理下にある公的資金
b) 公的企業もしくは公的金融機関の仲介によって公的機関の管理下にある公的資金
c) 上記公的資金の最終的な使用用途
4. 透明性に関しては、業者選択手続きの開示もまた重要となる。以下に挙げる点を保証するために、公共サービスの提供者を義務付ける一連の事例が確立されている。
a) 全ての利用者へのアクセス
b) 年間を通してのサービスの提供
c) 安全性
d) 環境保護
e) 領土的結束
5. さらには、有効な競争にさらされていないサービス提供価格及び、第6条第1項b)に規定されている、透明な方法で、公正かつ区別なく、提供されるサービスに見合ったサービス価格を港湾サービス提供者が設定するように義務を課す。
6. EU加盟国は、いかなる時でも様々な港湾インフラの使用料を確定する義務がある。こうすることで、港湾サービスの管理者が以後重ねてサービス料を徴収することを妨げることに結びつく。
本規則は、スペイン及びヨーロッパの港湾・物流システムに大きな変化をもたらすものとなろう。スペインのように大規模な物流インフラ、良好な港湾ネットワーク、低価格を持つ国は、規則の施行時に、国外の輸入ネットワークから透明性と競争力を持つ商品の入荷拠点とみなされるように、2019年までの本規則を導入の機会を利用するべきである。
ブランコ・ペドロ (Pedro Blanco)
ヴィラ法律事務所
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2018年2月2日