2018年12月28日付法律第11/2018号商法、資本会社法及び会計監査法を改正する法律の施行により、商法の改正第44条は連結決算書類を構成する書類として新たに財務外状況報告書を追加した。

 

I.作成が義務付けられる会社

連結決算を作成する会社が以下の要件に該当する場合には、事業報告書に財務外状況報告書を含めなければならない。

a) 当該事業年度におけるグループ会社の従業員数の平均が500人を超える会社

b) 監査関連法令に基づき公共の利益団体であるとみなされる会社、または、連続する2事業年度の間、各事業年度末日において下記の少なくとも2つの状況に該当する会社

(i) 連結資産の総額が20,000,000ユーロを超える

(ii) 各事業年度の連結税引き後利益が40,000,000ユーロを超える

(iii) 各事業年度における従業員数の平均が250人を超える

企業グループの設立から最初の2事業年度においては、グループ筆頭会社が初年度の決算日時点で上述b)の3つのうち少なくとも2つの状況に該当し、かつ、a)の状態に該当する場合には、すべての子会社を含み、事業活動を行うすべての国に関する財務外状況報告書の作成が義務づけられる。

 

II. 財務外状況報告書の内容

財務外状況報告書には以下の内容が含まれる。

a) グループのビジネスモデルに関する概要説明

b) リスク及び重要なインパクトの特定、評価、回避、予防及び緩和のためにグループに適用されるデュー・ディリジェンス手続き及びその評価及び管理(どのような対策を採用するかも含む)に関する方針の説明

c) これら方針の効果。これには、方針導入後の進展の追跡及び評価を可能とし、かつ、会社及びセクター間の比較を容易にするような、財務外の結果にかかる重要な指標を含まなければならない。

d) グループの事業活動に関連して生じる主なリスク

e) 会社の具体的な事業活動にとって適切な、財務外状況に関する重要な指標

また、財務外状況報告書は下記に関する重要な事項を含む。

(i) 環境問題に関する事項

(ii) 社会及び従業員に関連する事項

(iii) 人権保護に関する事項

(iv) 会社に関する事項

(v) その他重要と考えられる事項

上記の事項のいずれかについてグループ会社に適用される方針が存在しない場合には、会社は財務外状況報告書内で、その理由を明確に説明しなければならない。

 

III. 株主総会による承認

財務外状況報告書は、株主総会に独立した議案としてその承認のために提出がされなければならない。

 

IV. 公示

財務外状況報告書は、無償にて公共に供されることとなり、事業年度終了日から6ヶ月以内に会社のホームページに掲示がされる。掲示期間は5年間とされる。

 

 

露木美加

ヴィラ法律事務所

 

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2019年1月18日