いずれの国の経済においても、外国投資は重要な役割を有している。過去数年間、スペインは外国人投資家にとっての魅力的な目的地として、特に不動産購入、及びスペイン法人への外国企業の参入等の方法で、益々関心を集めている。
スペイン国内向けの外国からの投資、およびスペイン国外におけるスペインからの投資を実施する際には、特定の規制対象となるため、当時のスペイン政府産業貿易観光省(el Ministerio de Industria, Comercio y Turismo)が定めた申告書式を提出し、当該投資業務の報告義務があることに特に留意しなければならない。
一般規則
2023年9月1日付にて、2023年7月4日付外国投資に関する新勅令第751/2023号(以下、「本勅令」)が施行し、スペインにおける外国投資制度がアップデートされた。本件については、昨年の記事『外国投資規制のスペインにおける新展開』を参照されたし。
同勅令には、適用除外についての新システム、投資規制の分野における新展開、一般の認可申請の審査期間の6ヶ月から3ヶ月への短縮などが導入された。しかしその施行後に、これを実装するためには、特に外国投資申告書の提出手続き制度の適用のためには、省令を定める必要性が認識された。
そのような中、2024年1月31日付にて、スペイン経済・産業・企業省(el Ministerio de Economía, Comercio y Empresa)は1月29日付ECM/57/2024号省令(以下、「本省令」)を公布した。本省令は本勅令を実装するもので、投資および投資引き上げに関する申告書と年次報告書提出に適用される手続きを定めている。本省令の主な新制度は以下となる。
・仲介者による申告書への署名が不要となり、申告者の署名及び公証人の認証も不要になった。
・個人投資家による申告を含む、電子的手段による投資申告の基準統一。
・投資法人の本店住所の有効な変更、もしくは個人投資家の居住地の有効な変更の時点から、これらの投資家の税務上の地位が居住者か非居住者であるか変更申告期限を、6ヶ月から1ヶ月に短縮。
・投資に関する年次報告書の提出期限は、前年度期末時から9ヶ月以内から7ヶ月以内に短縮される。 すなわち、期末を12月31日に定める多くの企業は、遅くとも毎年7月31日までに同書を提出することが義務化される。
・本省令の発効以降は、株主資本の10%以上を保有する投資家による企業への利益再投資に関する情報を、外国投資に関する年次報告書に記載しなければならないこととなった。
同様に、2024年1月31日付の経済・産業・企業省内にある国際貿易投資部門(la Dirección General de Comercio Internacional e Inversiones)の決定において、本省令および本勅令の対象となる、スペイン国内に対する外国投資および国外におけるスペインからの投資手続き申告の様式が承認、公示された。
結論として、2024年2月1日付にて施行された本省令によって、本勅令においてすでに導入された法制度を補完し、外国投資申告書の提出手続きを大幅に簡素化し、デジタル手続を迅速・容易化することとなった。
フリオ・ゴンサレス (Julio González)
ヴィラ法律事務所
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2024年4月26日