表明保証保険とM&A

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表明保証保険は一般に、W&I(Warranty and Indemnity)保険、またはR&W(Representation and Warranties)保険として知られ、企業合併・買収等のM&A取引のために利用される。当該保険は、M&Aにおいて譲渡企業が従来提供した保証に代替するものとして生み出され、一方当事者の表明保証違反から生じる損失から他方当事者を保護することを目的としている。

一般には、譲受企業が保険契約者となり、不測の損失への対応を可能とする保険種類を、譲渡企業のコンプライアンス違反に起因する損失を保険契約に基づいて保険会社に請求する目的で加入する。しかしながら、譲渡企業がこの種の保険を契約することも珍しくなく、これは、譲受企業からの将来的なクレームから自社を守ることを目的としており、この場合、譲渡企業は、保険契約に基づいて、保険会社に対して、譲受企業側が請求しうる賠償金の支払いを請求する権利を有する。

この種の保険は、一般的には取引額が1億ユーロを超えるような大規模なM&A取引の初期段階で契約されることが最も多い。しかし、取引確定後や、小規模な取引のケースでも当該保険に加入する場合もある。

保険会社は、まずデューデリジェンス報告書を含むM&A取引書類を保険契約過程において検証し、その後、契約当事者と保険条件について交渉する。当該プロセスは、通常約15日から25日程度を要するが、緊急の場合は短縮されることもある。

表明保証保険においては、以下に挙げるような多分野で、補償が除外されることがある。

– 既知、または開示されているリスク

– デューディリジェンスが不十分と判断される分野

– 法律上保険が適用されない違反行為

– 環境責任

– 将来の出来事

– 贈収賄および汚職のケース

– 移転価格

譲渡企業と譲受企業の両社にとって、表明保証保険への加入は、以下に挙げるような多くの利点がある。

– 譲受企業は、譲渡企業のコンプライアンス違反に起因する損失を保険会社に請求できることで、交渉や訴訟を回避し、経済的・時間的な節約を図ることができ、損失回復をより容易かつ可能にする。

– 潜在的な投資家、従来の保証の提供に消極的であった譲渡企業にとっても、取引オファーの信頼性向上につながり、魅力的なものとする。

– 保険会社によるM&A取引の分析により、交渉プロセスで発生しうるリスクや不正の発見を可能とし、取引の安全性を高める。

– M&A契約や両当事者間の関係を損いかねない責任、補償交渉の回避を可能とすることで、M&A契約成功を容易にする。

主な欠点としては、手続きへの第三者関与、保険加入費用が挙げられる。

費用について言及すると、一般的な保険料額は、想定される保険金請求の件数、事業期間、規模、複雑さなど多くの要因に左右される。通常、契約限度額の1%から1.8%程度とされている。

 

ヴィラ・オスカル (Oscar Vilá)

ヴィラ法律事務所

 

より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。

va@vila.es

 

2023年10月27日

2023-11-02T08:36:10+00:0027/10/2023|買収・合併|

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