導入

2015年7月2日に、法第15/2015号簡易裁判手続きに関する法律(以下「簡易裁判手続き法」、もしくは「法」という)が施行された。当該法は、公的機関による口頭弁論手続きなしでの介入が必要となる特定の状況に適用される。具体的には、当該法は、人、家族、相続法、債権法、物権法 、自主的な競売事件、商事事件及び調停事件における「簡易裁判」手続きを想定している 。本稿では、当該法の第8編の商事事件に適用される簡易裁判手続きについて検証する。

商事事件における簡易裁判手続きについて(第8編)

商事事件において当該法は下記の8つの異なる手続きを規定している。
I. 会計担当者による帳簿の開示

適切と認められる場合において、会計帳簿および関連書類の開示を、法でそれら書類の保持を義務付けられている者に対し、要請することができる。書類の開示範囲及び開示内容は商事裁判官が判断し、裁判所書記官の立ち会いのもと行なわれる。

II. 定時株主総会または臨時株主総会の招集

商事裁判所に対し、株主総会の招集を申請することができる。当該申請が受領されると、裁判所書記官が意見聴取を行い、当該申請内容が承認されれば、株主総会が招集される。
III.清算人、監査役及び会計検査官の選任及解任

商事裁判所に対し、清算人、監査役または会計検査官の選任及び解任を申請することができる。この場合、裁判書書記官が事件に関する決定を行い、当該決定内容は、商業登記所に送付され、登記される。

IV. 減資、株式・持分の償還及び譲渡.

法により認められる場合、裁判所書記官に減資、会社株式または持分の償還及び譲渡を申請することができる。
V. 裁判所決定に基づく会社の解散

取締役、株主及びあらゆる利害関係人は、法に従い、それが適切であると認められる場合には、商事裁判所に対して裁判所決定に基づく会社の解散を申請することができる。この場合、決定は裁判官によりなされる。

IV. 債権者集会の招集.

この場合、裁判所書記官が、債権者組合設置を決議するための債権者会議の招集に対する命令を発する。この命令に対する異議申立てはできない。
VII.有価証券の強盗、盗難、紛失、破壊、及び一部株主の代理

紛失、破損した有価証券の合法的な保持者は、簡易裁判の手続きを開始することができる。必要手続き終了後、その内容に従い、裁判所書記官は当該有価証券に関して、取引及び譲渡の禁止、元金・利子・配当金の支払の一時停止、現物の供託等の命令を発する。

VIII. 保険契約の鑑定人の選任.

損害額について、保険会社が選任した鑑定人と被保険者の間で合意に至らず、第三者が指定した損害額とも一致しないような場合、鑑定書を発行してもらうための鑑定人の選任を申請することができる。もし両者が合意に至らない場合、裁判所書記官が鑑定人を選任する。

結論

当該法の施行により、司法権のいらない案件については、当該法施行前は裁判官や司法官にのみ付与されていた権限が、裁判所書記官、公証人、不動産登記所及び商業登記所の登記官に与えられることとなった。しかしながら、全ての商事事件について、法は弁護士及び訴訟代理人の介入を要求している。

 

 

ビシャビセンシオ・カルラ (Carla Villavicencio)

ヴィラ法律事務所

 

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2015年9月23日