欧州における消費者の法的保護は、以下に述べる二つに区分化された段階を経て長い道のりを歩んできた。

  1. 消費者に関わる様々な原則と権利の認識
  1. 前項で認識された消費者の権利を行使するための適切な取り決めの確立

現在、我々は第2段階にあり、欧州議会及び欧州理事会は、消費者保護が完全に実現するように様々な規則を発行し始めている。

2013年5月21日付欧州議会及び理事会指令第2013/11号は、EU内に居住する消費者に対し、いかなる加盟国内に設立された会社との紛争を解決する可能性を、消費者紛争の裁判外紛争解決の手続きを提供する機関を通じて保障することを各加盟国に義務付けている。

当該任務の遂行のために、上記機関は管轄当局による認可を自主的に申請することができる。管轄当局は、本指令に定められたすべての要件の達成に関する分析と評価を行った後に決定を下す。

消費者紛争の裁判外紛争解決に関する2017年11月2日付スペイン法第7/2017号は、前述のEU指令をスペイン国内法に置き換えるものである。第1条によれば、本法の目的はEU加盟国に居住する消費者に対し、独立性、公平性、透明性、有効性及び迅速性に基づく質の高い裁判外紛争解決のメカニズムへのアクセスを、EU指令によって付与された原則を維持するために、保証することである。

本法第1条には、以下のように、裁判外紛争解決機関の認可のための最重要要件が規定されている。

  1. 裁判外紛争解決機関はスペイン国内に設置されなければならない。
  1. 同機関は、恒久的に存在しうる機関であることが記された定款あるいは運営規定を持ち、市民が簡単にアクセスできるようでなければばらない。また、ここには、運営及び資金調達に関する情報及び、機関が解決する紛争の種類、紛争解決の手続に関する情報、紛争解決担当者の任命方法、紛争解決担当者の資格及び経験に関する情報も併せて織り込まれていなければならない。
  1. 同機関は国内あるいは国境を越えた消費者紛争を解決しなければならない。
  1. 同機関は、独立性、公平性、透明性、有効性、迅速性および公正性の原則を尊重せねばならない。
  1. 裁判外紛争解決手続への参加は、両当事者による自主的なものでなければならない。
  1. 同機関は、両当事者に対して、弁護士又はリーガル・アドバイザーを選任することは義務的なものではないこと、及び、弁護士を任命する場合には、訴えの提出から3日以内に同機関に知らせなければならないことを知らせる義務を負う。
  1. 紛争解決手続費用は、無償である。
  1. 手続へのアクセスはシンプル且つ簡単に識別可能であること。オンラインアクセスも可能であること。
  1. 紛争解決手続前に消費者と会社間で、法的拘束力のある結果をもたらさない手続に従うことを目的として結ばれた合意は、消費者を拘束しない。
  1. 紛争解決手続の結果は、請求の申請日から、あるいは手続開始のために必要な書類がすべて受領された日から最長90日以内に発表される。

スペイン法によれば、管轄当局は機関を認可した後、本機関の情報をスペイン消費·食糧安全·栄養局(Agencia Española de Consumo, Seguridad Alimentaria y Nutrición)に送付し、スペイン国内に存在する機関のリストに加えることとなる。当該リストは、上記官庁のウェブサイト上で簡単に閲覧可能となる。また、この情報は同機関がヨーロッパの認可機関としてリストに追加され、欧州理事会のウェブサイト上で発表されることを目的として欧州理事会にも送付される。

今後EUの消費者は、どの加盟国に居住しているかにかかわらず、裁判外紛争解決システムへのアクセスを確保することができることとなる。それは、消費者のような脆弱なグループにとってさらなる保護となりうるだろう。

 

 

ブランコ・ペドロ (Pedro Blanco)

ヴィラ法律事務所

 

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2017年11月10日