大半の人が長く待ち望んだ夏休みを楽しむための季節をまもなく迎えるにあたって、この時期にたくさんの人の混乱を招くフライトのディレイやキャンセルに関連した事項について、実務的な視点から検証したい。

明確な点は、これら数カ月間における人々の大移動は、これらの時期は1年の他の時期に比べてより正確なマネジメントとオーガナイズの要請が生まれるということである。また、運送業界に関連したたくさんの集団は、その名誉回復のために利用しているが、最終的に被害者となるのは乗客である。

実務レベルに話を移すと、実際に私たちが遭遇するシナリオは以下のものである。

  1. 意思に反する搭乗拒否
  2. フライトの遅延
  3. フライトのキャンセル

これらについて、欧州議会及び欧州委員会規則第261/2004号の消費者保護規則は、一般的な形で下記のような乗客にも適用がされる。

a) 例外を除き、EU内に存在する空港を出発した者

b) 乗客がEU市民である場合、EU内の空港に向けてEU外の空港から出発した者。

まず初めに、請求可能な補償金について紹介し、その後、各ケースにおける適用について見ていく。

I. 可能な経済的補償

a) 飛行距離が1500キロまでのフライトについては250ユーロ

b) 飛行距離が1500キロ以上のEU間のすべてのフライト及び飛行距離が1500キロから3500キロのその他のすべてのフライトについては400ユーロ

c) 上記のいずれにも該当しないフライトについては600ユーロ

飛行距離は、搭乗拒否又はフライトキャンセルにより予定到着時刻よりも遅れて乗客が到着する最終目的地をベースに計算がされる。飛行距離は地図上の直線での距離で計測がされる。

乗客に対して到着時間が当初予約していたフライトの予定到着時間とは異なるものの最終目的地までの代替輸送手段が提供された場合には、以下の内容の補償となる。

i. 飛行距離が1500キロまでのフライトの場合は、遅延が2時間を超えない場合

ii. 飛行距離が1500キロ以上のEU間のフライト、及び、飛行距離が1500キロから3500キロのその他のフライトの場合は、遅延が3時間を超えない場合

iii. 上記のいずれにも該当しないフライトの場合は、遅延が4時間を超えない場合

航空会社は上記の経済的補償の金額を50%減額することができる。

II. 返金請求権又は代替輸送手段を求める権利

a) もし旅行自体がその本来の目的を失ってしまった場合、実際に運行されなかった旅程及び運行された旅程の一部についての全額のコストを7日以内に返金、及び、適切な場合には、元の出発地まで可及的速やかに戻るためのフライト。

b) 最終目的地までの比較可能な輸送条件での可及的速やかな(又は合意した日の)輸送。

III. 配慮を受ける権利

a) 待機のために必要となった時間に応じた、十分な食事及び飲料

b) 一夜又は複数の夜を過ごさなければならなくなった場合のホテルでの宿泊

c) 空港と宿泊施設間の交通手段

d) さらに、無料で電話、電報、ファックス、電子メールによる通信が乗客に提供される。

1. 意思に反する搭乗拒否

搭乗拒否はいわゆるオーバーブッキングの際によく生じる。この状況において、法は両者の合意に基づく搭乗の拒否の可能性を認めているが、航空会社は必ずその代わりのメリットを当該乗客に提供しなければならない。しかし、乗客の意思に反した搭乗拒否の場合は、乗客は上述のI、II及びIIIに記載された補償金やその他の補償を請求する権利を持つことになる。

2. フライトの遅延

航空会社がフライトの出発時刻について以下のような遅延を予測した場合には、上述III a)及びd)の補償を提供しなければならない。

a) 1500キロ以下の飛行距離のフライトについて2時間以上

b) EU間の1500キロ以上の飛行距離のフライト及び1500キロから3500キロの飛行距離とその他のすべてのフライトについて3時間以上

c) 上記のいずれにも該当しないフライトについて4時間以上

予定出発時刻がどんなに早くとも翌日になる場合には、上述のIII b)及びc)で言及された援助が提供される。また、もし遅延が5時間以上となる場合には、上述のII a)の補償が乗客に提供される。

3. フライトのキャンセル

フライトキャンセルの場合、乗客に対してIIの補償及びIII a)及びd)の権利、又、適用される場合にはIII b)及びc)の権利が提供される。

また、乗客はIの補償についての権利も有する。ただし、少なくとも2週間前までにキャンセルが伝えられた場合、又は、事前通知は2週間に満たないが代替輸送手段(一定の到着時間の遅延が認められる。)が提供された場合は除かれる。規則によれば、フライトのキャンセルが、あらゆる合理的な手段を用いたとしても避けることのできない異常な状況に起因するものである場合にも、補償は発生しない。

裁判外における請求または友好的な請求の途が絶たれた場合にのみ、法的手段による請求を行うことができる。

 

 

テラン・アンドレアス (Andreas Terán)

ヴィラ法律事務所

 

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2019年5月31日