スペインにおいて商標とは「ある会社の製品もしくはサービスを他会社のものと市場において区別するのに役立つ、視覚的に表示される独特な標章」と定義されている。2015年EU指令第2436号の法的枠組の国内法への置換を目的として、諸々の新規定の承認はまだされていないものの、2019年1月14日よりスペインでは商標登録手続を近代化する、ヨーロッパで展開される基準と同等にするような新たな規制が施行された。以下に、言及すべき改正点をリストアップする。

まず新改正法は2019年1月14日以降、当局と一般大衆の保護目的を達成するためには、独特の標章を提示することで十分とするとした。これにより登録されるべき標章の視覚的な表示要件が撤廃され、ホログラムまたは香り等の新しい形態の標章の登録が可能となった。

他方、著名商標(la marca notoria)の概念(第8条第2項)を撤廃し、周知商標 (la marca renombrada)(第8条第2項)を一般に認識されるいかなる種類の製品、若しくはサービスに唯一の保護対象標章として拡大解釈し対応することとなった。

外国企業にとって興味深い改正は、同日より、国籍、居住地、または国際協定の有無等の条件に関わらず、個人または法人の両方が自身の商標登録をすることができるという点にある。

更には、著作権侵害への対抗策についても、既に登録されている商標と同一商標を有する製品の国内への導入をストップする際に、当該製品が商品化される予定であることを証明する必要なくなった改正点が、特筆に値する。

他方、EUの法的枠組みに沿った法令の調和、なかでも、欧州の商標登録手続及び出願システムにおける周知性が、国内レベルにおいても反映されることを許可することとなる。

マーケティング戦略および法的先見性の観点からは、異議申立手続きで出願人が異議申立人に対象の商標の使用について証拠提供を要求することができるようになるため、純粋に保護目的で商標登録を行うことは、もはや意味をなさないことを考慮することが非常に重要となる。

さらに、スペインの特許商標庁(OEPM)において、商標の無効性及び存続期間に関する判断を行うことが新法によって可能となった。当該新規定は、手続きの迅速化、コスト削減を可能とし、通常この種の案件を扱ってきた裁判所の混雑を緩和することとなる。原産地指定の保護および植物原産地の指定に関しても改正が行われ、その保護は、以前より認識された原産地の指定または地理的表示に関して混乱を招くような独特の商標を登録する可能性を除いて(第9.3条)完全に禁止とする(第5条)という条項によって保護されることとなる。

最後に、当該新法の第21条の第3節から第6節に規定される商標使用認定の要件について、及び、スペインの特許商標庁における無効認定および登録有効期限の判断可能性に関しては、本改正法が承認されるまで効力を有さないため、本法の完全なる施行には、まだ時を要することとなる。

 

 

デ・ラ・ベガ・イグナシオ (Ignacio de la Vega)

ヴィラ法律事務所

 

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2019年3月29日