2016年3月14日、スペイン最高裁判所(Tribunal Supremo)は、2014年12月29日付で中央高等裁判所が出した行政訴訟の判断を破棄した。 最高裁は、サーチエンジンであるGoogleで表示される個人情報についての削除についてGoogle Spain社が責任を負うべきかが争われた、「忘れられる権利」に関する複数の訴訟について、Google Inc. が情報の使用目的や条件、使用方法等を排他的に定める権限がある以上、忘れられる権利に関する責任もGoogle Inc.のみが負うと判示した。
高等裁判所(Audiencia Nacional)の行政訴訟法廷は、スペイン個人情報保護局(Agencia Española de Protección de Datos, 以下「AEPD」という。)の決定に対するGoogle Spainの異議申し立てを却下した。AEPDは、Google Spain社に対して、「www.blogspot.com」サイトを運営する米国企業のスペインにおける代表者として、当該ブログ記事内に含まれる当事者の個人情報を削除することを要請していた。
この点、2014年5月13日付の欧州司法裁判所(TJUE)の判決では、Google Spainが主張した行政処分における当事者(被告)適格の欠如について、以下の2つの理由から認めなかった。
(i) Google SpainとGoogle Inc.は事業における一体性が認められ、Google SpainもGoogle Inc.によって提供されるインターネット検索サービスの枠内での個人情報の取扱いに関与していると言える。
(ii) Google Spainは、対AEPDとの個人情報に関する権利にかかる手続きや、スペイン裁判所での様々な法的手続きにおいて、あたかも個人情報の取扱い責任者のようであるかのような行動をこれまで行ってきた事実がある。
しかし、スペイン最高裁は、「情報を取扱うという行為が規制の根拠及び条件の適用対象であるのだから、それにかかる義務についても情報を取扱う者が負う」として、個人情報を取り扱う者が忘れられる権利についての責任を負うとした。
結果として、最高裁はAEPDの決定を無効とし、検索エンジンの運営者、本件で言えばGoogle Inc. が情報の使用目的や使用方法を定める者であり、したがって、情報の取扱いについても責任を有すると判示した。
大友 美加
ヴィラ法律事務所
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2016年4月8日