私的自治の原則は、民法および契約法の基盤となる原則である。当該基本原則は、当事者らに最も適した方法で法的関係を規制・構築することを提供可能にする。つまり、これらの法律関係の条件を、自由に設定することを可能とするのである。

当該原則は、一般にラテン語成句で”pacta sunt servanda”、すなわち「合意は拘束する」

と表現される。従って、スペイン民法第1255条は、「契約当事者は、法律、道徳または公序良俗に反しない限り、最適な合意条項および条件を定めることができる」と規定するのである。

これらの制限の不明瞭さは様々な解釈の余地を残し、契約当事者間で合意した契約内容に、第三者が介入することを許す。

このような解釈の余地、及び私人間の契約に裁判所が介入する可能性があることは、明らかに当事者自由の原則を阻害するものであり、特に契約の違約金条項に関する場合、非常に重要となる。

違約金条項とは、契約に不履行があった際に金銭的な罰則を課すことによって主債務の履行を保証する契約規定である。つまり、両当事者は、債務不履行の場合の罰則について当該規定条件において合意することができる。

しかしながら、契約上の罰則合意内容にかかわらず、裁判所は、スペイン民法第1154条に定める「裁判官は、主債務が債務者により一部、もしくは不規則に履行された場合には、罰則を衡平に修正する」という衡平原則に基づき、罰則内容を変更することができる。

したがい、この権限は、義務の不履行にかかる違約金条項について履行が不完全又は不適切である場合にのみ適用される。これは完全な義務不履行の場合には裁判所は違約金条項を調整することができないことを意味する。さらに、最高裁判所は過去に、下記の2つの前提がある場合において、違約金を調整するこの権限を制限する判断を示している。

  • 罰則が予見された不履行が実際に生じた場合
  • モラトリアム違約条項が存在する場合において遅延が生じた場合

これらの制限は2021年12月10日付直近の最高裁判決によって具体化及び強化され流こととなった。上記判決において、最高裁は第一審裁判所によって実施された違約条項の調整とその後の地方高等裁判所による追認を認めた。

当該事案は、イベント会場として運営されている商業施設の賃貸借にかかる事案であった。賃貸人及び賃借人は不動産賃貸借契約更新の合意に至らず、その後、不動産所有者は当該施設の占有明渡しを請求し、用益権を有していた会社はそれを拒否した。

不動産所有者は強制退去のための簡易訴訟を提起し、契約終了日から不動産の引渡しがされるまでの期間について1日あたり500ユーロの損害賠償金を請求した。なお、契約書の違約条項は以下を定めていた。

「賃貸人は、契約上合意された期間内に賃貸借物件を回収する権利を有しており、[…]賃借人が、期日までに賃貸借物件を引渡す義務を履行しない場合、不履行開始日から物件の引渡し日まで、日額500ユーロを賃貸人に補償する義務を負う。」

第一審裁判所は、原告の請求を一部認めたが、スペイン民法第1154条に規定するように、違約金条項は「完全に公平性が欠如しており、調整を必要とする」との理解から、賠償請求額を150ユーロに減額した。

高等裁判所も同様の判決を支持し、予測が可能な損害に対し、契約上合意された違約金額が度を越している場合、下級裁判所は調整基準を適用することができると理解した。

しかし、最高裁は当該解釈に意を唱え、上告された判決は同種の案件に関する従来の判例法に沿ったものではないと判断した。最高裁は、スペイン民法1154条規定に則り違約金条項を調整するためには、同条の要件、すなわち、主債務が一部または不規則に履行されたことを満たす必要があることを想起した。本件では、完全な契約不履行であったため、上記調整案件に該当しない。

また最高裁判所は、支払うべき違約金額と義務不履行により生じた損害額の差額が非常に多額かつ公平性にかけ、契約時に合理的に予見できた損害の結果を変更し、予見できない状況に起因するとみなされる場合、スペイン民法第1154条の類推適用が可能であると断言した。

しかしながら、今回のケースに上記ケースの適用はされないことは明らかであるため、最高裁は、原告の主張を全面的に受入れ、控訴を支持した。

 

クアドラド・アレシュ (Aleix Cuadrado)

ヴィラ法律事務所

 

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2022年1月21日