2022年3月8日付バレンシア県裁判所判決(ECLI: ES: APV: 2022:830)は、2021年4月22日付バレンシア市第3商業法廷が下した破産手続の無責査定を見直し、非典型商事管理契約によって、債務超過会社の財産から資産と債権を不正に処分したことが立証できるとみなし、有責であると査定した。

本判決においては、第3、第4法的根拠において、破産共犯者の問題について、綿密な検討を行っている。

I.- 第3法的根拠 要件

共犯者の立場と破産手続関係者との区別を扱った2021年9月14日付スペイン最高裁判所判決(ECLI: ES: TS: 2021: 3309; Vela Torres裁判官)が参考にされた。

上記判決において、共犯者とは、債務者の行為に加担する第三者、もしくは債務者のために行為する者と定義され、有責査定された破産手続にて決定される。「共犯者」は「協力者」に相当し、「破産手続関係者」は「加害者」に相当することから、「共犯者」と「破産手続関係者」(これは責任当時者に相当)の両方に該当する宣告はできないと説明した。

当該判決では、2016年1月27日付最高裁判決第5/2016号及び2017年3月29日付最高裁判決第202/2017号の両方に言及し、以下の要件を定めている。

a)共犯者は、個人債務者、または債務超過法人の取締役または清算人として有責破産手続きとの査定の根拠となる行為の実行時に「重要な役割で」協力したこと

b) 協力が「故意または重大な過失」であったこと

同様に、裁判所は以下の要件を定めている。

c) その行為もしくは不作為において共犯性及び責任の所在が認識できる、法的行為及び義務の正確な記述

d) 前述の記述は、十分な証拠に基づくものでなければならない;

e) 起訴・証明された共犯者の行為と、有責破産手続査定の根拠となった、債務超過の発生または悪化原因となった具体的行為との間に明確な因果関係があること;

f) 共犯者の行為は、有責破産手続査定に至った行為に直接関連している必要がある;

g) 有責と査定される要因となった行為において、共犯者の故意、または債務超過当事者との共謀があったこと

II.- 第4法的根拠 破産手続関係者と共犯者

共犯者と分類された場合に派生可能な結果

1)資格剥奪

「資格剥奪や損失補填といった制裁判決は破産手続関係者のみを対象としているため、共犯者に対しては不可能である」としていた、2015311日付最高裁判所判決(ECLI: ES: TS: 2015: 1243)、および20161125日付アリカンテ県裁判所判決(ECLI: ES: APA: 2016: 3103)の判断を繰り返した。

2)いかなる権利の喪失

破産手続関係者及び共犯者は、スペイン倒産法連結条文第455条第2項第3号により、破産手続債権者又は優先破産債権者として有していた権利を喪失することを宣告される場合がある。

3)損失補填

2021914日付最高裁判決によれば共犯者に対しては、損失補填、及び資格剥奪の判決を下すことはできない。

4)損害賠償

共犯者についてスペイン法は、一般的な結果(破産手続における債権者としての権利の喪失)と、行為に応じたその他の具体的な結果(資産や権利の返還、損害賠償支払い命令)を規定している。

2020618日付最高裁判所判決(ECLI: ES: TS: 2020: 2178)は、損害賠償支払命令は、有責破産手続き関係者と共犯者の両方に対して発され、結果として(i)破産債権及び優先破産債権の喪失制裁、(ii)不当利得もしくは権利の返還命令に繋がるとした。

そして、賠償金支払いは、修復的判決、及び他の損害賠償の結果でもあるが、倒産後に派生する賠償(未充足債権)については、破産手続関係者のみが責任を負うものであり、それ以外の者には責任を負わせるべきでは無い、と結論づけている。

 

 

ボスク・ミレイア (Mireia Bosch)

ヴィラ法律事務所

 

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2023年4月6日