再生計画には、債権者が再生債務者に対して、再生計画の期日に従った弁済の振込先となる銀行口座を知らせなければならないという条項が含まれるのが通常である。また、当該条項には、銀行口座の情報を定められた期間内に知らせない場合、債権者は自身が有する債権について弁済を受領する権利を放棄したものとみなす、という文言が含まれる場合も多い。このような状況において、債権者が期日内に情報提供を行わなかったことで弁済受領権を破棄したとみなして、再生債務者が当該債権について弁済を行わないことはよく起こり、結果として、債権者が再生計画の不履行を理由に再生債務者の清算を要求することがあった(倒産法旧140条)。

最高裁は、2016年4月8日付の判決において、この種の条項の有効性及び法的効力について分析している。

最高裁の見解によると、債権者集会によって再生計画が承認・決定されたのち、3ヶ月以内に管財人に弁済の振込先となる銀行口座を知らせない場合、初回弁済時において自動的に当該弁済を受領する権利を破棄したものとみなされる。このための通知や手続きは必要とされない。その後の弁済についても、各弁済期間の開始までに銀行口座情報を知らせない場合には、弁済受領権を放棄したものとみなされるだろう。また、指定された期間内に口座情報を知らせなかったことを理由として弁済がなされない場合、再生計画の不履行とはみなされないことが明確に規定されている。

当該条項の内容が再生計画を承認した当事者に適用されることについては、再生計画の効力がその他の債権者に影響を及ぼす以上、疑問の余地はない(倒産法第134条。ここで問題となるのは、再生手続の範囲外にあるものは、その適法性についてなんら疑問を投げかけないといえるのか、それとも、それは再生手続の範囲内であるとされるのか、または、銀行口座の情報提供義務の厳格性及びその不履行による効果を緩和すべきなのかといった点だろう。

最高裁は、倒産法第131条による再生計画の承認についての司法審査について強調している。これは再生計画の内容及び再生計画承認の態様について裁判官による検証を要求するコントロールであり、なんらかの条項、特に倒産法第100条に規定する事項への違反が認められた場合には、裁判官は再生計画を却下しなければならない。ここで問題となるのは、指定期間内に銀行口座を知らせないことで弁済受領権を喪失する旨を定める条項が有効かどうかである。検証されたケースにおいては、裁判官も債権者も当該再生計画が、再生計画の内容について定める倒産法第100条に反するものであるとは指摘しなかった。

最高裁の見解では、当該条項は再生計画そのものに影響を及ぼすものではなく、弁済の履行についてのみであるため、倒産法第100条の定める限界に反するものではなく、また、そのような条項を「設けてはいけない」と理解できるような強行規定にも反するものではないとする(2013年2月19日付最高裁判例第50号)。実際、再生計画において具体化された当事者の自主性が、そのような条項の有効性を正当化している。

したがって、最高裁は(1)当該条項は有効であり、(2)その適用を妨げるような強行法規にも反しておらず、(3)その効力は広く認められるべきであり、結果として(4)倒産法第140条の定める再生計画の不履行とは認められず、(5) 弁済を受けられなかった債権者は当該理由に基づき再生債務者の清算を要求することはできない、と判示した。

最高裁により有効性が認められた条項が規定する内容によれば、債権者が銀行口座の情報を管財人に知らせない場合には再生計画で予定された最初の二回の弁済について受領する権利を喪失し、後から定められた時点において銀行口座を知らせたとしても、既に弁済期日を過ぎた分の弁済について請求することは認められない。さらに、第2回目の弁済期間が開始する前に銀行口座の情報提供を行わない場合、以降のすべての弁済について受領する権利を放棄したものとみなされる。

最高裁が弁済にかかる形式的な義務の不履行について、広範かつ厳格な効果を保証するならば、債権者が一定期間(延長不可)内に銀行口座の情報を知らせない場合には再生計画に予定されるすべての弁済について受領する権利を喪失するという内容の規定も有効かつ法的効力があるものと認められるべきではないかの考えに至るだろう。本判決の趣旨を鑑みると、そのような条項も同様に有効かつ法的効力を有すると解されるべきであろう。

 

 

ヴィラ・エドアルド (Eduardo Vilá)

ヴィラ法律事務所

 

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2016年5月20日