2022年9月5日付倒産法改正に関するスペイン法律第16/2022号(以下、「新倒産法」という)は、旧倒産法第455条を改正しなかった。同条項は、倒産手続き時にその不法行為を認定する判決が出された場合、その原因の明示に加え、以下を判断する必要があるとしている。
a) 当該認定の利害関係者及び共犯者とされた者の特定
b) これらの者が、破産債権者として、もしくは破産財団として有していた権利の喪失
c) 債務者の財産、あるいは破産財団から不当に取得した財産・権利の返還をこれらの者に命じる。
d)これらの者に、生じた損害に対する賠償支払いを命じる。
e) 2年から15年の間、他者の財産管理人、及びの代理人となる資格を、これらの者から剥奪した。
そして、新倒産法では、有責性の認められた倒産の場合に、当該分類に対する金銭的内容に関しての和解合意成立の可能性についての重要な新条文(第451条bis)が導入された。
ここでは、同条項の対象者、範囲、要件、手続きについて検討する。
対象者
以下の者らが対象となる権利を有す。
1. 破産管財人
2. 分類審査報告書を提出した債権者
3. 分類審査報告書において、当該分類の影響を受ける可能性のある者、または共犯者とされる可能性のある者。
2.に関して、すべての債権者が分類審査報告書を提出する権利を有するわけではないことに留意が必要である。倒産手続きにおける有責性の認定につながる申し立てを行った債権者で、負債の5%以上を占めるか、破産管財人が提示する暫定リストにより100万ユーロを超える債権を保有している場合に限られその権利を有す。
新破産法では、検察庁の役割は、分類審査報告書に関して裁判官から通知を受けることに限定されているため、検察庁はこれを要求することはできない。しかし、場合によっては、刑事訴訟を提訴する可能性がある。
当該分類の利害関係者となる可能性のある者は多数あり、特に、破産宣告前の2年間、事実上または法律上、倒産会社の取締役、清算人、ゼネラルマネージャー、さらには倒産会社と同じ企業グループに属する会社、または関連会社がこれに該当する。
共犯者とされる可能性のある者も多数あり、破産手続きを故意または重大な過失により不法行為と認定する根拠となり得る行為の実行において、破産会社、その取締役、清算人、事実上または法律上の支配人に協力したあらゆるタイプの自然人または法人が含まれる。
対象物
数値化が可能である場合、本稿の冒頭の段落b)、c)、d)項において定められた用語にて決定される分類に対する金銭的内容であろう。
なお、取締役、代理人としての資格剥奪はここから除外されることは言及に値するであろう。
必要条件
和解合意が有効になるための要件として、適切な手続きを経て、破産裁判官によって承認される必要がある。
手続き
権利対象者が承認の申請を行った後、裁判所事務官が破産手続分類当事者に通知し、10日以内に関係当事者が申立てを行うことができるようにする。当該申し立てが行われた後、または期間が経過後、裁判官が請求を承認または拒否する判断を行う。承認命令に対しては上訴することができるが、却下の命令に対しては、上訴はできない。
改正法の新条項を評価する上で、我々は以下の点を強調する。
1.権利対象者は、裁判官の仲介なく分類の金銭的内容を交渉、決定できるため、破産手続における和解契約の交渉、締結、承認を促進することができる。しかしながら、資格剥奪の可能性が除外されていれば、当該促進はより強く推奨されることとなったであろうこと。
2.この種の合意を債権者が請求することを可能とするために法的に確立した制限が、破産手続きの利益となるのかまだ明確でないこと。
3. 広範な解釈をすれば、対象者のすべてまたは一部の間で、全部または部分的に和解合意に達することができると理解できるが、対象者間に利害対立がある場合はどうなるのか?例えば、異なる原因や対象に帰する分類審査報告書による破産手続きの有責性を判断する場合は、どうすべきか。破産手続き上の利益が優先されるべきと理解するが、それをどのように主張するのか?
和解合意は、新倒産法の施行後に宣言された破産手続き、および施行前に破産手続きが宣言されたが、施行後に分類審査が開始もしくは再開された場合に申請できる。
どれだけの和解合意が締結されるかは、今後数カ月間注視するべできあろう。
ボスク・ミレイア (Mireia Bosch)
ヴィラ法律事務所
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2022年10月21日