去る2017年10月27日、スペインの上院議会は、憲法で定める義務の遵守を目的として、憲法第155条の適用を過半数で採決し, スペイン中央政府がカタルーニャにおいて一連の措置をとることを承認した。カタルーニャ州知事への要求に対する返答がなかったため、スペイン中央政府は上記措置を数日前(10月21日)に上院議会に提案していた。本条項適用は例外的な措置にあたり、1978年憲法が採択されて以降、適用されたことがない。それ故に、今回の措置を採るにあたっては、その実行方法及び手段について多くの疑問が未解決のままとなっている。

しかしながら、スペイン中央政府は、法的および政治的な問題に関連して非常に重要な決定を下した。10月27日の上院議会において憲法155条の適用が採択されると、同日、スペイン政府は臨時閣議を開き、一連の解決措置について閣議決定を行った。その中には、カタルーニャ自治州州知事及び州政府閣僚の即時解任、州議会の解散及び州議会議員の総選挙を2017年12月21日に実施することが含まれていた。したがって、現時点において、以下に述べるように、カタルーニャ州には自治政府は存在せず、その機能は中央政府が担っている状態にある。

前述の上院議会による決議は、8つの留保と細かい点を除き、中央政府が提案した措置の大部分を承認するものだった。

最終的に承認された措置は10月27日に発効されている。当該措置は5つのブロックに分かれている。

a) カタルーニャ州知事、副知事及び州政府閣僚に対する措置

前述したように、10月27日をもって、州知事、副知事を含むカタルーニャ自治州政府のすべての閣僚が解任された。彼らの機能は、現在、スペイン中央政府又はこの目的のために中央政府によって設置された機関 によって担われている。

 b) 州政府の行政機関に対する措置

カタルーニャ州政府は行政組織として引き続き機能する。行政機関は解散せず、機能の停止も生じない。しかしながら、スペイン政府が設置した機関が作成した、権限行使のための規定を定める指針の下に行動する。また、行政機関の行動は常に事前連絡又は事前承認の対象とされ、連絡や承認なしで行われた決定や行動は無効となる。同時に、いかなる州政府の役職者、責任者及び一般公務員の解任、並びに、州政府の公的団体及び公的機関の解散が可能となる。

 c) 行政機関の活動に関する措置

自治州警察は、スペイン政府の指揮下に置かれることとなる。

国家治安部隊(スペイン国家警察及びグアルディア・シビル)のカタルーニャ配置が可能になり、必要であれば自治州警察を置き換えることができる。

経済および財政面では、スペイン政府は、税金及び予算の面で必要な権限を行使することができる。つまり、中央政府が予算を決定し、地方税の回収を管理する。 これらの措置は、独立分離主義のプロセスのために公的資金が回収・使用されることを回避するための措置である。

電気通信およびデジタル・サービスに関するカタルーニャ州政府の機能はスペイン政府に属することとなる。同措置は、スペイン政府によるカタルーニャ公共放送及び公共ラジオ放送のコントロール又は保護の獲得を意味する。また、 カタルーニャ州政府に属していた 電気通信フレームワーク、データベースおよび情報のコントロールもスペイン政府が行うことになる。

  d) カタルーニャ州議会への措置

上記の措置の有効期間、かつ、2017年12月の選挙によって誕生する新しい州議会が開催されるまで、州議会議長は州知事候補者の提案や、州知事選任の審議及び投票を行うことはできない。

 e) クロスセクター的措置

法的観点から見ると、上院議会が承認した措置に反して施行、実行される規定、行為および決定の無効性を宣言する条項は、特に興味深い。ここで疑問となるのは、 そのような行為及び決定がスペイン政府によって採択された措置に反することを、誰がどのように宣言するのかである。いずれにせよ、そのように宣言された行為及び決定は無効であり、何らの効力も生じない。

他方、事前に承認がされていない条項や、これら例外的措置の適用のためにスペイン政府によって設置された機関に同意されたところを満たさない条項は、カタルーニャ州政府官報(カタルーニャ自治州政府及び州議会の規則及び決定を公示する発行物)において公示することができない。規則や法規定の公示は、法の有効性が導入されるための必須条件として知られている。カタルーニャ州政府官報を管理することにより、国の上院議会の承認した措置に反する法規定が意図せず公示されることを防ぐことを目的としている。

カタルーニャ州知事及び副知事に与えられている自治州政府の組織形成の機能は、スペイン政府又はその代理のために設置される組織又は役職者が担うこととなる。したがって、これらの措置を遵守するために、スペイン政府によって設置される組織等は、カタルーニャ内に組織を設置し役職者を任命することができる。また、同じように見えるかもしれないが、本件措置が遵守されることを保証するために、分離独立プロセスにおいて重要な役割を果たした部署の責任者は解任される。

また、 カタルーニャ州政府が、憲法の遵守又は本件措置に基づいた行動を行う公務員又は職員に対して懲戒処分を課す場合、それらは法的無効であり効力を有しないことは特筆に値する。したがって、スペイン政府が採択した措置に反する又は矛盾するような命令に従わなければならないと考えた公務員は、保護されることとなる。 また、スペイン政府は、このような案件の関係者に対して、行政、刑事又は財産上の責任を課すことができる。

本件措置の効果的な適用のために、スペイン政府又はスペイン政府によって設置された機関や責任者は、国または自治州の懲戒規定に基づいて、カタルーニャ議会及びカタルーニャ州行政機関の責任者、公務員、職員に対する懲戒権限を行使することができる。

本件措置の適用期間は、新しくカタルーニャ州政府が組閣されるまでとされているが、スペイン政府は上院議会に修正を要求できる。当該修正は事の成り行きによっては、政府の締め付けが緩くなったとも厳しくなったとも理解されるだろう。他方、現在の状況を引き起こした原因が終了した場合、スペイン政府は本件措置の終了時期を早める可能性がある。

スペイン上院議会は、スペイン政府が提案した措置に細かく色分けを施した。つまり、状況がどのように発展するかに応じて適用を調整する、本件措置の「適切かつ責任ある」適用を促し、現状のような例外的な局面に対処するにあたって節度と慎重さを呼びかけている。

 

 

ヴィラ・エドアルド (Eduardo Vilá)

ヴィラ法律事務所

 

より詳細な情報につきましては下記までご連絡ください。

va@vila.es

 

2017年11月3日