業務執行取締役への報酬及び会社の定款によってその報酬を規制することに関しては、二つの矛盾する見解が存在する。

業務執行取締役に対する報酬の定款による規制を支持する見解は、彼らが業務執行の役割を担うと同時に取締役でもあることに言及し、従って資本会社法(LSC)第217条は、第249条(同条項は2014年12月3日法律第31/2014号によって、コーポレート・ガバナンスの改善を目的に改正された)と併せて適用されなければならないとしている。資本会社法第217条は、取締役への報酬の会社の定款による規制の必要性及び株主総会により取締役への報酬額の承認を規定している。同法第249条は業務執行取締役に関して特別に言及している。この見解では、業務執行取締役は、株主総会の承認なしに会社の定款の定めがなく恣意的な報酬を受け取ることができないとしている。

一方、他の見解は、業務執行取締役のために立法者によって特別に規定された条項(資本会社法第249条第3項)を理由に、取締役への報酬に関する一般規定である資本会社法第217条は、業務執行取締役には適用されないと主張する。この見解によれば、業務執行取締役の報酬について株主総会での承認を要しないし、会社の定款に記載される必要性も無いと理解される。

第2の見解の立場を支持する2015年2月24日付および2016年7月21日付け登記公証局(DGRN)決定が公示された後、2017年6月30日バルセロナの地方高等裁判所第15番法廷による第295号判決は、2015年11月27日バルセロナ商業第9番法廷による第241号判決を取り消し、登記公証局の決定を支持する判断を下した。

業務執行取締役に対する報酬を規制するための資本会社法第249条は特定条項であり、業務執行権限を持たない取締役への報酬を一般に規定する第217条と異なることは明確であるように思われる。

資本会社法第249条は、業務執行取締役は以下に挙げる性質を持つ契約を会社と結ばなければならないと規定する。

“3. 取締役の構成員の一人が代表取締役に剪定された場合、あるいは別の役職名にて会社の業務執行権限を与えられた場合、当該取締役は会社との間で、取締役会のメンバーの3分の2以上で承認された契約を締結しなければならない。当該取締役は、契約承認の際に取締役会の審議への出席及び決議への参加は認められない。承認された契約書は、取締役会議事録の添付書類として、取締役会議事録に含まれなければならない。

4.契約書には、契約の早期終了に伴う退職金、及び会社による保険掛け金、あるいは財形制度への積立分等も含む、業務執行の職務に対する報酬コンセプトを詳細に記載しなければならない。業務執行取締役は、業務の遂行を理由に、契約書に記載されていないコンセプトあるいは金額を報酬として受け取ることはできない。

本契約は承認された報酬方針に、存在する場合には株主総会の承認に、従わなければならない。”

業務執行取締役に対する報酬金額の設定に関しては、株主総会による特定の報酬支払方針による規制を受けず、かつ、資本会社法第217条の一般規定は前述の判例により適用されない。しかし株主は、会社と業務執行取締役間の契約内容が、彼らに関連のある情報を有する場合、その公開を要求する権利を有する。

 

 

マルチネス・マーク (Marc Martínez)

ヴィラ法律事務所

 

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2017年7月28日