直近5月9日付にて、特定製品・サービスのアクセシビリティ、高度専門職人材移住、税制、公証・登記手続きのオンライン化に関するEU指令の置換、ならびに原子力および放射性物質による損害に対する民事責任に関する2011年5月27日付法律第12/2011号改正に関する、2023年5月8日付法律第11/2023号(5月8日)が官報に交付された。

当該法律は、非常に多岐な分野に渡る6つのEU指令を国内法に置換するもので、翌日5月10日以降に施行となった会社関連、および11月9日以降施行予定の公証人関連の規定に、以下に挙げるような重要な新制度を導入している。

スペイン公証人法: 新規に第17条terが導入され、ビデオ会議を用いたオンライン条の公証人面前認証が認められることになり、公証人役場に赴くことなく公正証書を作成することが可能となる。具体的には、以下の法律行為またはオペレーション時に、当該手続きによって実行することができる。

• 商取引証明文書: この場合、文書本文に別段の定めがない限り、信用機関を通して公証人の電子窓口に文書を提出することで、オペレーションに同意することとなる。

• 会社の設立、あらゆる種類のビジネス関連法に規定する選任や委任、同様に、その他の会社行為の付与。ただし、株主による出資の場合は、金銭出資によるものとする。

• 訴訟代理人への委任、公的機関で行動するための委任、および特定行為のための委任状の作成。ビデオ会議による一般的、もしくは予備的な委任状の授権は、不可能とする。

• 委任取消し。一般的、予備的な委任状は除外される。

• 支払通知書保証の取消し

• 株主総会議事録、及び厳密な意味における参考資料

• 署名証明

スペイン資本会社法: 新規に導入された第22条bisは、金銭出資以外の方法で出資が実行される場合を除き、オンラインによる有限責任会社の完全に設立を可能とする規定である。同法第40条bis以降第40条quinquiesにおいて定める手続きにより会社設立を実行する場合、設立受任者は、法が内容を規定する会社定款モデルを含む標準モデル的な設立形式公的証書を使用することができる。完全オンライン化された会社設立手続きの最重要点は、以下となる。

金銭出資の実行(第40条ter):金銭による拠出は、支払者の識別が可能な方法、且つ、EU加盟国内に設立された電子決済サービスプロバイダーまたは金融機関が提供する電子決済手段によって実行されなければならない。金銭出資事実の文書化、評価および通達は、電子的に実施される。ただし、有限責任会社の設立時に、会社設立者らが、会社および会社の債権者に対して、出資金に連帯責任を負うことを証書内で宣誓すれば、金銭出資の実態を証明する必要はない(資本会社法第62条2項)。

・商業登記所における会社登記(第40条quater):標準モデル定款、公正証書形式を使用する場合、オンライン設立手続きは、登記申請入力日の翌日以降6営業時間以内に登記が完了されなければならない。その以外のケースでは、登記申請入力日の翌日から最長5営業日以内に資格認定および登記が完了する。

・会社設立手続き完全オンライン化の例外(第40条quinquies):公証人は、以下に該当する場合、1回に限り、当事者に出頭を求めることができる:

(i) 公益上の理由、およびいかなる身分証明書偽造回避のため。

(ii) 設立受任者の能力、および必要な場合には有効な代理委任状の確認のため。

この場合においても、オンライン設立手続の他の段階や要素が電子的に完了することを妨げるものではない。

 

ルビオ・ジョアン・ルイス (Joan Lluís Rubio)

ヴィラ法律事務所

 

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2023年5月19日