2021年3月13日付政府官報にて、2021年3月12日付勅令法第5/2021号COVID-19感染症に対応するための企業への財務支援にかかる緊急措置法が交付された。この法は、COVID-19感染症の影響で経済的に困難な状況に直面している企業への助成金の交付に関する事項を主たる内容としているが、同法において、既に緊急措置として講じられている資本会社の株主総会の電磁的方法による開催について定める2020年11月17日付勅令法第35/2020号企業の財務支援及びエネルギーセクターへの支援にかかる緊急措置法の第3条修正がされた。当該修正により、先の勅令法において不明確であった、当該勅令法の特別措置により株式会社(Sociedades anónimas)の株主総会を電磁的に開催する場合について、具体的な要件が明確化された。

本稿では、勅令法第35/2020号及び勅令法第5/2021号に基づき、電磁的方法による株主総会についての概要を確認する。

I. 株式会社(A.)の場合

株式会社の場合、定款に定めがない場合であっても、取締役会は勅令第1/2010号第182条、第189条及び第521条に定める条件にて株主総会への電磁的方法による出席及び遠隔からの投票が可能である旨を招集通知に記載することができる。株式会社で上場会社の場合は、スペイン国内のいかなる場所における株主総会の開催も同様とする。

また、取締役会は招集通知において、株主総会が電磁的方法によってのみ、つまり、株主や代理人が物理的に出席することなく、開催されることを通知することができる。ただし、議決権を行使する者の身元確認のための合理的な保証が施され、以下のすべて又はいずれかの方法により株主総会への参加を可能とするチャンネルが提供される場合に限る。(i) 電磁的方法による出席、(ii) 遠隔コミュニケーションにより株主総会議長への委任を行う、(iii) 遠隔コミュニケーション方法による議決権の事前行使。

取締役は株主総会に出席することができ、株主総会の開催場所は、株主総会議長の出席地に関係なく、会社の本店所在地で電話会議又はビデオ会議により開催されたものとみなされる。

II. 合同会社(L.)の場合

合同会社の場合、定款に定めがない場合であっても、株主総会をビデオ会議又は複数人による電話会議にて開催することができる。ただし、株主総会への出席権を有するすべての者又はその代理人が必要な方法を所有している場合に限る。経営組織の書記役は、株主総会出席者の身元確認を行い、その旨を株主総会議事録に明記するものとし、株主総会議事録は株主総会後直ちに出席者の電子メールに送信されるものとする。

III. 結論

上記のとおり、最も重要なのは、定款の定めがなくても、電磁的方法のみによって株主総会を開催することができる、という点である。なお、これはあくまでも特別措置であり、2021事業年度に限定して認められているため、今後も継続して電磁的方法による株主総会の開催を会社が希望するのであれば、現行定款には電磁的開催に関する定めが置かれていない場合には、2021年度中に開催される株主総会にて、株主総会の電磁的方法による開催が可能となるような定款変更をすることが求められる。

 

 

露木 美加

ヴィラ法律事務所

 

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2021年4月9日