2019年7月19日、スペイン登記・公証局は、会社の定款変更、特に株主総会の招集方法及び電子メールによる招集の可能性に関連した定款第21条の変更のための会社の決定に関する公正証書の登記について、アストゥリアス商業及び動産第一登記所がこれを拒否したことに対する異議申し立てに起因して、決定を公表した。

なお、改正された条文は以下の内容であった。:

«21条。すべての株主総会は、ユニバーサルな郵便サービスや全ての株主による招集通知の受領を保証する他のオペレーターにより行われる、個別かつ書面でのあらゆるコミュニケーション方法(電子的手段を含む)によって、招集のために指定された住所、または会社に記録されている住所(株主名簿に記載されている場合にはその住所、それがない場合は株主の地位取得の権利証書又は文書に記載されている住所)または、各株主により提供され、株主名簿にも記載されている電子メールアドレス(招集通知メールの開封確認付き。開封確認要請が拒否された場合は、システムによりメールが返信されない限り、開封確認がされたものと同じ効果があるものとする。)にて招集されなくてはならない。いずれにせよ、招集通知の内容はスペイン資本会社法第174条の規定に適合しなければならず、株主総会開催日の少なくとも15日前に送付されなくてはならない。合併や会社分割の場合は、株主総会開催日は、通知が最後の株主に送信された日付から少なくとも1カ月の期間を要するものとする […]»

商業登記所は2014年10月28日のスペイン登記・公証局の決定の内容及びスペイン資本会社法第173条2項に準拠して、開封確認を求めない電子メールによる株主総会の招集を行うシステムは受け入れられないとして会社の定款変更についての公正証書の登記を拒否した。

前述の商業登記所による拒否は、公正証書の発行者である公証人により的確に疑問視され異議申し立てがされた。公証人は、株主が電子メールを提供した時点から、これを会社とのコミュニケーション手段として受け入れていると理解されなければならないと主張し、有効性は株主の独占的な裁量に委ねることはできないため、株主による電子メールの開封確認がない場合、そこから導き出される結果は株主の責任であり、株主が引き受けなくてはならないと付け加えた。

スペイン登記・公証局は異議申し立てがされた登記拒否の判断の撤回を支持することで本件議論を解決した。問題となっている電子メールによる通知システムは、株主への電子メールによる通知の受領を合理的に正当化でき、電磁的通信の現状において受領証明は、例えば<<送信確認>>の手段を通じて取得できることから、十分であると考えなくてはならない、とした。

最後に、スペイン登記・公証局は、条文のうち「未確認」に関する部分について、通知がシステムにより返信されない限りは確認の効果を生じ、提案されているシステムの効果を弱めない点を追加し、前述の電子メール開封確認の提供を拒否する株主の妨害態度よりも手続きが優先され、そのような場合には、当該株主は株主総会招集通知の欠如を証明することが義務付けられるだろう、と述べた。

 

 

ブランコ・ペドロ (Pedro Blanco)

ヴィラ法律事務所

 

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2019年8月30日