2017年1月3日付の登記・公証局決定により、合同会社(S.L.)の増資に際して金銭によらない出資がされるための条件が明らかにされた。

本件において、合同会社は、ビジネス・ユニットの一部を構成する動産の出資による増資を行うことを決議した。当該決議においては、出資に用いられる動産について、その価値についての記載はあるものの、それ以上の詳細にかかる記述はなかった。当該増資に用いられる予定であった資産は、設立前の会社を構成するものであった(当該会社は設立後第三者に売却される予定であった)。

バレンシア商業登記所登記官は、設立前の会社は、法律行為の目的物となり得るものではなく、権利に拘束されたものであり、また、ビジネス・ユニットというものはそれだけで事業を行うに足りる要素の集合体をいうのであるところ、本件において会社が主張するビジネス・ユニットはそのような性質を有するものではないことを理由に、当該出資はまったくもって明確性を欠くものであると主張した。

登記・公証局の決定は、金銭によらない出資である場合、会社の増資決議にかかる公正証書には、登録されたデータ(存在する場合)、ユーロ建てでの資産価値及び株式または出資持分の証券番号が記載されなければならないことの指摘から始まった。それは合同会社が資産価値にかかる報告書の提出が必要でない場合であっても同様であるとされた。また、商業登記規則第190条第1項は、公正証書において出資に用いられる動産または権利を明記する義務を定めている。他方、金銭によらない出資の特定は、出資に用いられた動産ごとに行われなければならず、まとめてされることはできない。ただし、当該動産が「集合で一つの資産を構成する場合」または「会社または商事施設や工業施設」である場合は例外とされる。資産ごとに特定をしなければならない理由は、出資者と出資に用いられた動産または権利との間の、所有権の名義や経済的価値といった責任関係を明確にするためである。

本件においては、設立済みの会社の集合体を「ストック(株式)」のようなものとして後に譲渡することを目的に、出資に用いようとしていた。出資の性質として、商業登記官は「会社は権利主体であって他の会社の増資のための出資財産として用いられることはできない。それら会社の出資持分が他の会社の増資のための出資財産として用いられるのとは結論は異なるべきである。」と強調し、確認した。また、もし完全に特定されたビジネス・ユニットによる出資というオペレーションであったならば、そのオペレーションは可能であることは2016年7月2日付決定によって登記・公証局が示したところである。

最後に、登記・公証局は、増資オペレーションに用いられる資産が、複数の会社(税務情報とそれぞれの会社の商号の特定が詳細になされている)を設立して後から売却するという事業を行うような会社によってつくられたビジネス・ユニットである場合、増資にかかる公正証書において一つのビジネス・ユニットを構成する資産について言及が乏しく、当該出資財産全体の価値のほかに詳細な情報が記載されていない以上、出資財産は正しく特定されているとは言えない、指摘した。

 

 

ヴィラ・エドアルド (Eduardo Vilá)

ヴィラ法律事務所

 

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2017年1月27日