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スペイン資本会社法は、清算人は、最終清算貸借対照表と株主リストを含む会社解散にかかる公正証書を作成し、これを商業登記所に登記しなければならないと定める。

同様に、会社登記簿が既に閉鎖されていたとしても、資産がみつかった場合、清算人はそれを旧株主らに配分する義務を負う。負債が見つかった場合には、旧株主らは清算人の責任を損なうことなく、清算分配金として受領した額を限度として連帯して責任を負うと定めている。

しかしながら、会社解散・清算にかかるすべての公式手続き(社内、公正証書作成、商業登記)をすべて実行した場合、法人格はいつ消滅するのかという問いが浮かび上がる。

2022年9月14日付バレンシア県高等裁判所判決(ヨーロッパ判例法識別子: ES: APV: 2022:1109A)は、2012年7月25日付最高裁判決が確立した以下のような法的見解を支持したものであった。

・登記簿の閉鎖は、法人格の消滅を意味する。

・会社の消滅は、未払い債権者がおらず、株主の未払い債務や、未分配の残余財産がないような実際に清算結了したといえる状態の場合にのみ起こる。

・そうでなければ、株主や債権者は、不当な登記抹消を進めた者を訴えることにより、登記抹消の無効と清算の再開を求めることができる。

・ただし、まず法人格の回復を求めなければ、法人格を欠く会社を訴えることはできない。

また、登記の抹消された解散・清算会社が、未払請求に関し、清算人に代表され、被告適格を引き続き有するか否かについて、最高裁判所の2017年5月25日判決で確立された学説にも言及している。同判決は、次のような矛盾する判決があると説明している:

・2011年12月27日及び2013年3月20日の判決では、係争中の法律関係に関与するだけであっても、会社の法的人格は存続するという理解のもと、会社の当事者能力を認めている。登記の抹消は単なる事務的な登記手続きであり、法的人格の実質的な消滅を意味するものではなく、すべての法律関係が完全に解消されるまでは生じない。

・2012年7月25日判決は、登記の抹消は会社の法人格の消滅を意味するため、法人格を欠く会社を訴えるには、まず当該法人格の回復を求める必要があると判断している。

また、登記・公証総局の2016年12月14日付の決議において、同局が維持する基準にも言及し、登記抹消後も消滅した会社の法人格は「会社が保有する法律関係が完全に消滅していない限り、残存する帰属中心として」存続し、また、会社の記載事項の抹消は、単に登記上の仕組みに過ぎず、その法人格の実質的な消滅を意味するものではないとしている。

最後に、最終的でない清算の場合、将来の請求だけが会社に向けられるわけでなく、登記の抹消と清算の正式な再開を事前に行う必要はないと結論づけている。「会社の人格は潜在的なものであり、会社は訴えられ、清算人により代理されることができる」ためとする。

法務保障・公信総局は、2023627日付決議(法147766/2023)でも同様の基準を示しており、同決議では、スペイン資本会社法第400条の適用により、登記抹消後、元清算人は消滅会社のために法律行為を正式に行うことができると付言している。

 

ボスク・ミレイア (Mireia Bosch)

ヴィラ法律事務所

 

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2024年1月19日