商業登記所に登記がされていない会社は年次会計書類を登録(depositar)できるか

本稿では、題名にて提起された疑問点を解消することを目的として法務省登記・公証局(Dirección General de los Registros y del Notariado、以下「DGRN」)から発令された直近の決定について解説する。

DGRNによる決定は、商業登記所に提出された年次会計書類の登録を登記官が却下したことに端を発する。登記官が却下した理由は、対象会社の2012年度及び2013年度の年次会計書類が未提出のため、対象会社の登記簿が一時的に閉鎖されていたため、上記年度の年次会計書類が登録されるまでは、年次会計書類の登録を行なうことが不可能な状態であることだった。

登記官からの却下をうけて、対象会社は、公正証書によって会社は設立されたが、出資者の責めに帰すべき事由により、会社設立公正証書作成から1年経過するまで会社の登記がされなかったことを主張するために異議を申し立てた。また、会社設立の公正証書作成から1年以上経過したにもかかわらず、規定に沿った登記がされず、当該会社はイレギュラーな状態であるが、既に事業を開始しているため、民事会社の規則が適用される旨の主張も行なった。したがい、会社の代表者は、登記義務を負う民事会社ではないため、登記官が会社を年次会計書類の登録ができる状態にしていないと考えていた。

これらの主張に対し、DGRNは以下の内容を言い渡した:

通説及び最高裁判所の判例によれば、登記がされていない会社が法人格を欠くと理解することはできない。つまり、今回のケースのような設立中の会社は、資本会社法に則って、資産の取得及び所有をし、義務を負い、あらゆる法律行為を行うに足りる法人格を有している。また、商業登記所での会社の登記は、資本会社が特定の法人格を取得したい場合にのみ必要となる。その結果として、登記により、抽象的な概念での法人格ではなく、選択した種類の法人格が与えられる。

これらを鑑み、DGRNは、本件について、該当年度以前の年次会計書類が登録されていない状態では、該当年度の年次会計書類の登録は行えないとの見解を示した。

DGRNがこのような結論に至るにあたって考慮された議論は以下の内容である。

  • 会社設立公正証書作成する行為においては、出資者が合同会社として登記をしようとする意思を有していたことを確認できる。
  • 公正証書作成後は、選択した会社形態に適用される全ての法規定(年次会計書類を登録する義務を含む。)が適用される。

 

 

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2016年1月15日