2022年10月14日付スペイン官報にて、2022年9月5日付法的安全・公文書管理局(以下「公文書管理局」という。)決定が公示された。当該決定は、特別委任状に関する公正証書の登記申請をアルメリア県商業登記所所属の登記官が却下したことに関するものである。

本事案は、ある合同会社(S.L.)の共同代表取締役の一人が委任者として作成した特別委任状の公正証書の登記申請がなされたことに発端する。

登記官は、会社の代理権限を与えるのは、共同代表取締役2名(全員)によらなければならないとし、もう一人の共同代表取締役の追認が欠如していることを理由に、登記申請を却下した。

この却下通知に対して、会社は以下を主張し異議申立てを行った。

i) 本件委任状は、委任者の個人の名前に加えて、会社の共同代表取締役としても作成した。本件委任状は、共同代表取締役としての配慮で作成されたものであり、自身のみが取締役であるという意識でなされているものではない。

ii) 本件委任状は、受任者が単独で授権された権限を行使できるような内容にはなっていない。委任者である共同代表取締役の代理人として、他方の共同代表取締役と共同で行使しなければならない。したがって、他方共同代表取締役の配慮を要しない。

公文書管理局は、以下を根拠として、本件異議申立てを却下し、商業登記官の評価を確認した。

公文書管理局は、共同代表取締役の一人が、他の共同代表取締役と共同して行動できるような委任状を第三者に対して授権することができるのかについて分析し、会社の代表権が第三者によって行使されるための委任状の作成は、株主総会によって任命された共同代表取締役全員による共同行為を要する手続きであるとの見解を示した。

当該第三者宛の委任状が、個人で権限行使をするためではなく、委任者である共同代表取締役の代理人として他の共同代表取締役と共同して権限行使をするためのものであったとしても、提出された文書では委任者の必要明確性な意思表示に欠けている。また、共同代表取締役や自身が指定した代理人によって代表権を行使することができないのは確かなことである。会社の経営及び代表の組織的権限を行使する人物の選任管轄は株主総会に属しており、法で規定されている場合を除き、選任者は代表権を授権することはできない。

最後に、公文書管理局は、経営と代表の組織的な権限行使は、会社内及び第三者に対しての会社の直接的な行為の方法として経営組織がそれを担っており、法で定められた義務及び責任の体制に則り、任命された人物によって行使がされるのであって、会社に組織的に融合されていない第三者に対して、会社を法的に拘束する会社の代理にかかる自主的な委任状を与えることが可能であることと、混同することはできない。そして、他の任命された共同代表取締役と共同して当該役職に固有の組織的権限を行使するために共同取締役1名により作成された委任状を登記することは、その形態の絶対的な歪みを意味し、資本会社法の内容に反するものと思われることから、認められない、と結論づけた。

 

ヴィラ法律事務所

 

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2022年11月18日