2017年3月15日付最高裁判決は、商法第42条第1項の定義する「グループ会社」は、法人が民事再生中の会社及び再生債権を有する会社に対して支配権を行使する場合のみならず、当該支配権が自然人によって行使される場合にも存在しうるとの見解を明示した。

本件における争点は、民事再生手続きにおいて会社Bが会社Aに対して有する再生債権であった。管財人は両当事者会社が一人の同じ自然人によって経営されていることに注目し、債権者が債務者と「特別な関係にある自然人」である場合には、その者が有する債権は劣後債権と分類する、と定める倒産法第92条第5項を根拠に、当該債権を劣後債権と分類した。

B社は債権者リスト、具体的には当該債権を劣後債権とする分類を不服として異議を申し立てた。商事法廷は、再生中の再生債務者である会社及び再生債権者である会社の両当事者はそれぞれ、同じグループに属する一人会社であり、当該グループのトップに立つ者は自然人であり、他の会社の65%及び79%を有する株主であると同時に、再生債務者である会社及び再生債権者である会社の100%株主であることを理由に、B者の異議申し立てを棄却した。

B社はバルセロナ県裁判所に控訴し、同裁判所は以下のような理由で控訴を認め、当該債権を普通債権と分類する判決を下した。

  1. 2007年7月4日付法第16号による商法第42条の改正後、企業グループの存在を判断するための基準は、従来の指示系統から会社の支配に置き換えられた。これは、ある会社が直接あるいは間接的に別会社又は複数の別会社の支配権を保有することを意味する。
  2. 現行の商法第42条第1項は、決定の統一という考えに基づき、その適用範囲から水平的なグループ会社を除外している。本件において、バルセロナ県 裁判所は、双方の会社(A社及びB社)の間には階層的な関係及びいずれかの会社がもう一方を支配する関係は認められず、両社は平等な関係にあるとした。
  3. さらに、バルセロナ県裁判所は、前述の商法第42第1項は、グループの親会社に連結計算書類の提出を義務付けていると結論付けた。この結論を根拠に、県裁判所は、一人の自然人によって支配されているという状況を鑑みると、グループを構成する個人または会社のいずれかが連結計算書類を作成していたかどうかは明らかではない、と説明した。

最高裁は、この上告理由の中で最も議論の余地があり、かつ、これまで裁判において取り扱われていない争点は、再生債務者である会社と再生債権者である会社の支配権を有しているのが、商事会社ではなく一人の自然人である点であるとした。最高裁は、再生債務者である会社及び再生債権者である会社への支配権の行使が、それらの間接的なトップである自然人によって行われ、又は、他の会社を通じて行われるような場合であっても、支配的状況が存在していたことは明らかであることを明確にし、その理由として、両社は株主が一人しかいない一人会社であり、その株主が、当該自然人と同一人物であることを示した。したがって、支配権が存在する場合には、商法第42条第1項の適用外となる水平的なグループ会社であると言えないし、 また、当該条文の解釈においては、支配権をもつのが商事会社か自然人かにかかわらず、支配的状況の存在が重要であるとした。

最後に最高裁は、当該条文は計算書類の目的のみに関連し、その他の目的には重要性を有さない要素を含んでいることを鑑みると、グループ企業が存在するためには、支配権を行使するのが連結計算書類の作成義務を有する商事会社であることは必要ではないことを示し、商事会社に影響を与える会計上の義務は、自然人に影響を与える義務とは異なり、倒産手続きの目的においては重要性をもたないと結論付けた。

 

 

エステル・ウゴ (Hugo Ester)

ヴィラ法律事務所

 

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2017年5月12日