2018年6月11日付の登記・公証局(DGRN)の決定は、合同会社(S.L.)が(i) 2人の取締役の辞任の承認 (ii) 経営組織の変更及び(iii) 一人取締役の選任についての株主総会決議を記した公正証書の登記を申請したケースについての判断を示した。

商業登記所は上記株主総会決議について、会社の登記簿の記載事項が以下の事実を示していたため、登記を認めなかった。

  • 国税局の法人登録において登録が取り消されていること
  • スペイン税務識別番号(NIF)が抹消されていること
  • 2014年、2015年及び2016年事業年度の計算書類の登録がされていないこと。

計算書類の登録不備に関して、その期限内の提出義務が明らかであること及びその結果については、下記の条文によって規定されている。

・資本会社法第282条

・商業登記規則第378条

両条文とも、会社の取締役が株主総会によって承認がされた計算書類の登録をしないまま事業年度終了日から1年を経過した場合には、当該義務違反が継続している間は当該会社の新たな登記をすることはできない旨を定めている。

なお、資本会社法第282条はいくつかの例外を定めている。そのうち、以下の事項に関連する株主総会決議であれば登記されることができる。

・取締役、支店長、経営者、清算人の解任又は辞任

・委任状の取り消し又は解除

・会社の解散及び清算人の選任

・裁判所又は行政による命令がなされた事項

DGRNは本件について、当該会社の(i) 二人の取締役の解任の登記に関しては、上記条文が適用されるとしても、他の事項は同社の登記簿にはすでにスペイン国税庁の法人登録から抹消されているという情報が含まれていることから、本件登記を実行したとしても第三者の利益とはならないであろうとの判断を示した。

 

 

エステル・ウゴ (Hugo Ester)

ヴィラ法律事務所

 

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2018年7月20日