2018年2月8日に、未公開の技術・ビジネス情報の保護に関する2016年6月8日の欧州議会および理事会の指令第2016/943号を、スペイン国内法に適用するための「企業秘密に関する法」の法案が法務省から提出された後、1年が経過した2019年2月6日、当該法案は上院にて可決され、成立した。

本法律の重要な点を再度確認するために本稿を作成する。法案からいくつか修正がされた点については、言及する。

法案の第1条によると、本法律の目的は企業秘密の保護とされ、企業秘密には「技術・産業・商業・組織・財務上、会社に関連するいかなる情報」と言ったような広範な定義がされている。企業秘密に該当するためには、以下の要件を満たしていなければならない。

  1. 秘匿であること。つまり、この種の情報を扱う環境において一般的に知らしめられていないこと、又は、簡単にはアクセスできないこと。
  2. 秘匿扱いすることによって、企業の実際の又は潜在的な価値が高まること。
  3. 情報の保有者が、秘匿にするための措置を設けていること

本法案第2条は、前第1条項を制限するものとして、合法とみなされる情報の取得方法を以下のように規定している。

  1. 発見又は独立して創造した場合
  2. 一般的にアクセス又は合法的な所有が可能な製品や対象物を元に、観察、研究、分析、実験して得た場合
  3. 従業員及び代表者より情報の使用権利を取得している場合
  4. 合法的な事業活動により得た場合

同様に、以下に挙げるようなケースの場合は、企業秘密守秘義務違反は民事訴訟の対象にならないとされる。

  1. マスコミの報道及び多元主義の自由への尊重も含めた表現の自由の権利行使を実行する場合
  2. 一般公衆の利益保護の観点で、何らかの違反、不正、非合法的行為を見つけた場合
  3. 従業員がその代表者に知らせた場合。ただし、当該代表者がEU又はスペインの法令において認められている合法的な機能の行使の範囲内である場合に限る。
  4. 法律で合法であると理解されている利益保護を目的とする場合

他方、同法律案第3条は、不法行為として以下を挙げている。

  1. 職業上守秘義務を含むいかなる書類、物体、材料、物質その他の媒体を許可なく取得すること。状況にもよるが、商慣習に反するとみなされるいかなるその他の行為。同様に、人が不法に使用していたと知りながらも、直接又は間接的に職業上守秘義務がある情報を入手することを含む。
  2. 不法に取得、あるいは、守秘義務違反によって取得した企業秘密を使用又は公開した場合。
  3. 法に違反している製品の製造、供給又は商品化や、当該製品を輸入、輸出、又は仕入れること。

第4条及び第6条は企業秘密の権利保持者に対して当該権利の譲渡又は独占又は非独占的な使用許可の付与の可能性を開いた。

法案第5条では、企業秘密の守秘義務違反に対して取ることができる民事の行為について規定されていた(企業秘密守秘義務違反の宣言、違反行為の停止命令、商品の押収、不法に取得された企業秘密の除去、違反商品の所有権の帰属(この場合、損害賠償金に上乗せされる)、故意又は過失が存在した場合の損害賠償、判決の全部又は一部の公表又は頒布)。しかしながら、この点については第9条に移され、法律第5条は職業上の秘密の共有制度を定めている。

法案の第7条は、上記民事訴訟請求の時効を、行為が行われた時点から3年とする時効について定めていた。しかし、この点は法律では第11条に移され、法律第7条は権利又は権限のない者から、悪意にて職業上の秘密を譲受けた者又は使用許可を受けた者の責任について定めている。

第9条は、当事者適格について定めている。当事者適格を有する者は以下の者である。

  1. 企業秘密の所有者
  2. 情報を開発・利用をする独占的もしくは、非独占的なライセンスを取得していること明示的に証明できる者。

法律第3章、つまり第20条以降は、第9条の措置に基づき、損害賠償に対応するための十分な安全性を確保しなければならない将来的に起こりうる予防措置を規定している。

最後に、付随条項第5に従い、本法律は近日中になされるであろうスペイン官報での公布がされてから20日後に施行される。

 

 

ブランコ・ペドロ (Pedro Blanco)

ヴィラ法律事務所

 

より詳細な情報につきましては、下記までご連絡ください。

va@vila.es

 

2019年2月15日