本稿では、ある有限会社の株主総会において、議長が正式要件を満たしていないと代理人資格の有効性を否定した場合、株主総会が無効となる可能性について判断したスペイン最高裁判所判決第356/2022号について考証する。

本件の事実背景を以下に列記する。あるスペイン有限会社の定款には、定時株主総会出席のための任意代理出席の権利付与について、スペイン資本会社法第183条の文言を転載しているものの、規定がなかった。さらには、株主が第三者によって代理される可能性につき、正式手続きとして、具体的な株主総会に出席するための特別委任が公的書類によって証明されることという条件が定められていた。

株主の一人は、資本会社法第183条に定める代理人として有すべき要件を満たさない第三者を代理人に任命し総会に出席したが、当該代理人(株主の顧問弁護士)は、当該総会出席のための特別な私的委任状を所持していた。

また、他の株主も、前者と同様の条件の委任状を持つ第三者が代理人として出席した。

これらの委任状が会社の定款および法令の規定に適合していないことを理由に、定時株主総会の議長は、代理人らの出席および議決権行使を拒否した。

当該議長決定の結果、代理人が株主総会に参加できなかったことから、当事者であった株主らは、弁護士に付与した委任状が他の機会においては有効であったが、今回に限って拒否されたこと等を理由として、定時株主総会および決議事項の無効を求める訴訟を提起した。

本件の第一審裁判所では、株主等の代理人たちは、株主を代理し総会に参加するための要件を定めた資本会社法183条の規定を満たしていなかったため、これを違反していないと判断した。加えて、作成されていた委任状は私的委任状であり、法令や定款が定める公的書類ではなかったとした。

当該判決を不服として当事者である株主等は高等裁判所に控訴し、第二審は酵素を支持し、第一審判決を覆した。当該判決では、同社の定款には株主総会における代理人制度に関する特別条項が定められていないことが強調されたが、本件以前は会社資本法第183条に定める要件を満たすことなくとも代理人の株主総会出席が認められており、他のどの株主も亜代理人による出席形態に異議を唱えなかったことが提出された証拠により明らかにされた。これらの事実を考慮すると、当該株主の代表権を拒否した議長の行為は善意に反していると判断した。

資本会社法第183条の侵害を根拠に、本件有限会社は、控訴審判決を不服として最高裁判所に控訴した。同社は、当該資本会社法第183条規定は法的強制的を有し、会社の定款には定められている同条項以外の要件を定めていないため、株主総会の議長の行為は適切であったと主張した。

スペイン最高裁は、まず本件判決文の中で、一般に、有限会社の株主総会における任意代理人制度は、有限会社が非公開会社である限り、公開会社のそれとは異なる独自のアイデンティティを有しており、限定的な「信頼に値する」者にのみ代理権が付与されるため、株主総会への部外者の出席が避けられるが、この通則に対する例外も考慮されなければならないことに言及した。

続いて、2014年4月15日付最高裁判決第191/2014号に言及し、有限会社の株主総会における任意代理権に関する法令は、会社の定款に代理人の地位を獲得するための要件を拡張する旨の定めがない限り、強制力を有し、変更の対象とすることはできないことを想起した。さもなければ、資本会社法第183条に定める者以外の者による代理は、「専門家であっても、特定の株主総会に限定した特別委任状があれば」という、条件の成立が不可能である。

本件の争点は、会社(具体的には、株主総会の議長)が、問題となった株主総会において、正式に総会が成立する際に、すなわち、欠席株主の代理人が総会のための特別な私的委任状で代理権を証明しようとしたところ、以前は上記方法で代表権を認定したが、今回は、資本会社法第183条の適用を要求し、予期しなかったことに出席を拒否されたという事実は、悪意によるものであるかどうかという点にあった。

加えて本件では、過去の株主総会において、別の株主が、単なる私的委任状で第三者を代理人として出席していたという前例があったことが重要であった。控訴人である有限会社は、この事実については控訴審において否定も反論もせず、ただ沈黙を守っていた。同様に、過去に別の株主が資本会社法第183条に定める条件のいずれにも該当しない第三者によって有効に代表されていた事実も争点とされた。

最高裁判決は、有限会社では通常、長い間にわたり総会の出席者が常に同一の株主であり、実務上、代表権の要件がこのような状況に適合していることを明記している。このような場合、総会議長が、過去にこの様な代理方法を認めていたにもかかわらず、法令規定に準拠していないという理由で代表を拒否した場合、同議長は自らの行為に反して行動したことになる(2002年5月22付判決第 483/2002号参照) 。別の言葉に置き換えれば、従来は有効と判断してきた欠陥を、代理人を拒否するために矛盾する判断をとしたと言える。このような前例を踏まえると、形式的な理由で代理権を拒絶することは、当該争点における最高裁の教義を動かす「精神的・合理的感覚」に背くことに等しいといえよう。

また、本件委任状を拒否した株主総会議長が、今回の基準変更を株主総会開催中に示し、本件の株主がこれに対応する可能性を与えなかったことにも、悪意が反映されている。一方で、もし議長が、代理出席を予定していた株主の行動に誤解が生じないように事前に警告をしていれば、単に法律や法令の規定に従って代表を拒否しただけであったろうと判断され、そこに議長の権利濫用は認められなかっただろう。

本件判決では、任意代理人の認否における善意・悪意の並存性は、ケースバイケースで分析されなければならないと結論付けた判決を引用した。(2011年2月21日付最高裁判決第51/2011号)。解釈の原則として、資本会社法第183条に定める要件は、株主権への非常に強い制限を伴うことを念頭に置かなければならない。この点を考慮すると、以前の株主総会では、ある者が株主の代理人として継続して認定されていたが、その後、基準変更を事前に通知することなく株主総会議長がその代理を拒否する場合、このような行為は、誠意の原則に反すると理解されるべきである。確かに、前例の存在それ自体は拘束力のある法源とはならない。非難されるべき行為が法律もしくは定款に反している場合には、その主張自体はほとんど意味をなさないであろう。

しかし、ここでは、合法性への、過去の行為に基づく筋の通った期待の挫折が重要な点となる。つまり、ある種の代理権(定款、法律規定と異なる方法)をもって株主総会への出席が可能という経験に基づく信頼を株主に与えた後、株主への事前通知、対応の余地なしに議長がその代理権を拒否することは、善意に反する行為と理解されなければならない。

 

 

ヴィラ・エドアルド (Eduardo Vilá)

ヴィラ法律事務所

 

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2022年10月7日