スペイン支店の開設とPE代表者の選任及び退任

会社は、事業施設として設けられた場所、つまり事業活動を行う目的で公衆に開放されている場所(店舗、倉庫等)で事業活動を行う。一つの会社は、事業運営のために、一箇所の、もしくは複数の異なる施設を所有することもあり、それぞれの施設は同じ地域にあることもあれば、異なる地理的なゾーンに設けられることもある。

会社が2つ以上の事業所にて活動を行う場合、そのうちの1つが本店所在地とみなされ、他の事業所は副次的事業所または支店とみなされる。

スペイン商業登記規則の定めによると、支店は法人格を持たない二次的施設であるが、常設の代表者が選任され、一定の自律的経営が認められており、これを通じて親会社の事業活動の全部または一部が実施される。(商業登記規則第87条第3項第1号および第307条とこれに関連する第295条)したがって、支店は、所属会社の法人格に従うため、その責任は親会社が無制限に負うと結論づけることができる。視点の活動分野は、スペイン国外にある親会社の会社目的に限定される。

国内外を問わずに新規顧客の獲得のために、事業活動を地域的に拡大しようとする企業の意志の結晶が、海外支店の開設である。EU加盟国にて設立された多くの会社にとって、スペインにおける事業活動拡大のために、スペイン国内に支店を開設することは有益なことであろう。当該目的遂行のためには、スペインにおいて会社を代表して行為を行う1人もしくは複数の人物を任命する。つまり、支店に対しスペインでの永続的な代表権を与える必要がある。当該代表権の授与義務は、支店の開設及び閉鎖を商業登記所に登記する必要性を正当化する(スペイン商法第22条、商業登記規則第296.2条)。

支店に常設される代表者について、当該地位にあるべき者は、親会社の経営執行機関の構成員の地位を有する者と混同するべきではない。構成員と稀に一致する場合もあるが、一致することは代表者の常設のための必要要件ではない。

同様に、支店は、以下のものと混同すべきではない。

– 付帯施設:公衆に開放されている施設に移転するまでの間、商品を保管・保存する倉庫や、主要会計業務を行う事務所など、会社の主要活動を準備または補完する活動を行う場所を指す。(この場合、第三者に対して適切な事業活動が行われておらず、常駐する代表者も存在しないため支店としては存在しない)。

– 子会社:支店が親会社の二次的施設であるのに対し、子会社は、親会社と同一または異なる事業活動を行う、独自の法的人格を持つ自律的経営を行う会社である。親会社は、子会社資本を分割した株式または出資持分の全額または少なくとも過半数を保有する。

– 駐在員事務所:スペインでの事業活動準備、広告、宣伝、情報提供、科学研究または類似の活動を行う目的で、非居住法人が、主な事業活動を行うことなく、スペインに設置する固定的な事業所を指す。

支店は、子会社とは異なり、法人格を持たない二次的な施設であるため、開設に際して出資(資本金)を必要としないが、親会社は支店に必要な出資を自由に行うことができる。さらに、法人格を有さないため、支店は権利、義務の主体となることができず、発生債務は親会社が負うことになる。

支店、駐在員事務所の開設、子会社の設立を選択するかは、経済的、法的、税務的、組織的な問題次第である。時には前述の選択肢が組み合わされ、多くの会社が複数の支店を有する場合もあるし、例えば、親会社と同様、もしくは異なる事業活動を行う1つまたは複数の子会社を有することもある。

当事務所のチームは、支店、駐在員事務所の開設、子会社の設立に関して豊富な経験を有しており、当該分野におけるリーガルアドバイスを提供しております。

 

 

スニガ・アルベル (Albert Zúñiga)

ヴィラ法律事務所

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va@vila.es

2023年5月26日

2023-05-26T14:41:53+00:0026/05/2023|会社法|

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