序文
2008年の財政危機は、ヨーロッパの経済システムや法令に多様な影響をいくつも及ぼしてきた。例えば、金融機関が負うリスクをコントロールする必要性から、金融システムに関する規則は日に日に増加してきた。他方、信用力の不足を補うため、コーポレート・ファイナンスのための新たなファイナンス手法が生み出されたてきた。立法者は、ときにこれらのファイナンス手法の法的枠組みを作るために、新しい規則のいくつかを活用している。本稿では、この新しいファイナンス手法について、以下に述べる。
参加型投資
11月10日付の当事務所の記事で述べられているように、コーポレート・ファイナンス促進法案には、興味深い新しい試みがいくつか含まれている。なかでも参加型投資団体、すなわち「クラウドファンディング」についての規則を含む点は、特筆すべきであろう。
この種の団体はオープン型であり、投資家はいつでも当該投資を止めて投資金を回収することができる。当該法案では、バランスのとれた正しい投資家保護を保障する一方で、初期段階の会社設立プロジェクトへの直接的な新しい投資方法を推進することを目的として、いわゆるクラウドファンディングのための規制枠組みが盛り込まれている。
クローズド型集団投資形態(中小企業向けベンチャーキャピタル)
2014年11月13日、官報において2014年法第22号が公布された。当該法はベンチャーキャピタル業者に関する規制を定めるものである。本法は、立法者が2011年EU規則第61号によって発令された規則を導入する必要に乗じて中小企業向けベンチャーキャピタル・ファンド(「ECR-PYME」)というコーポレート・ファイナンス用の手段について必要な法規制を制定した良い一例である。
これらの業者は、より小規模のビジネス・プロジェクト向けに、より大きなボリュームの集団投資を呼び込むことを目的として設立される。したがって、ECR-PYMEは、彼らの投資先が下記要件を充たすような会社であること以外は、あらゆる局面において一般のベンチャーキャピタルと同様である。
- 投資実行時に対象会社の株式が流通市場(セカンダリーマーケット)や多角的取引システムにおいて取引されていないこと。
- 投資実行時における従業員数が250人未満であること。
- 投資実行時における年間の資産が43百万ユーロ未満である、または、年間の取引額が50百万ユーロ未満であること。
- 他の集団投資機関であってはならないこと。
- 金融業者または不動産業を営む会社であってはならないこと。
- EU加盟国の企業でなければならないこと。
ベンチャーキャピタルからの 資金調達を検討している会社においても上記は考慮すべき要件ともいえるであろう。
より厳しい投資規制を採用するのではなく、立法者はこれらECRに対して負うべきリスク及び投資の多様性においてより大きな柔軟性を与えている。
結論
これら投資ビークルは資金調達の代替手段を検討している起業家やスペインへの投資に誘導するためにより安全なビークルを探している投資家にとって非常に有益なものとなり得る。
ヴィラ法律事務所
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2014年11月28日