I.- 序文

2014年10月3日、内閣はコーポレート・ファイナンス促進法案を閣議決定した。本法案の目的は、企業、特に中小企業の資金調達のためのチャンネルを改善することである。

II.- 法案の内容

本法案の主な内容は以下のとおりである。

(1) 中小企業向け銀行融資の改善

事前通知

本法案によると、新しい法は信用供与を行なう企業または団体(以下「銀行等」という。)に対し、中小企業にそれまで行なってきた信用供与を中止または大幅に削減(35%以上の削減)する場合には、供与先の中小企業に対して、少なくとも3ヶ月前までに書面による通知を行なわなければならないとしている。この目的は、中小企業が新たな資金調達先を迅速に検討するために必要な調整を行なうことを容易にすることである。 また、銀行等は、当該中小企業の財務状態、支払い履歴、口座残高、スペイン銀行によって制定される中小企業向けの債権格付け方法に基づいた債権格付けに関する情報をまとめたレポートを、事前通知から10営業日以内に、書面にて無償で当該中小企業に提供しなければならない。さらに、中小企業はこれら情報について必要なときにいつでも提供するよう要請することができ、銀行等は当該要請から15営業日以内に情報の提供を行なわなければならない。

(2) 信販会社についての法的枠組みの制定

本法案により導入される他の局面は、信販会社(以下「EFC」という。)についての規則である。EFCはスペイン国内の消費行動に対する信用供与を行なう会社をさす。自己資本比率に関するEU規則及びスペイン国内の規則において、EFCはこれまで金融機関としてみなされていないため、これらに対する特別な法的枠組みを制定する必要がある。本法案はEFCに対し銀行に適用される監督基準及び自己資本比率規制を適用することとし、金融検査の対象となることが定められた。

(3) 証券化についての法的枠組みの制定

手続きの簡略化及び透明化を目的に、証券化ファンドにより発行される証券に対して適切な資格を与え、格付け機関への依存度を減らす等、本法案は証券化についての法的枠組みの改正を行なう。

(4) 証券市場へのアクセス及び証券市場の機能改善

新興企業市場(MAB)により力を与えるために、発展や成長が著しい企業についてMABから一般市場への移動手続きに柔軟性を持たせる。すなわち、2年間の移行期間と当該期間中の事業報告義務を排除し、EU規則では義務付けられていない二つ目の半期報告書の作成義務を削除する。さらに、MABに上場している企業については500百万ユーロが通常市場への移行申請の最低資本金額とされ、通常市場へ移行後は自動的にコーポレート・ガバナンス規則の適用と当該市場の透明性維持のための規則が適用されることになる。

(5) 集団投資プラットフォーム、いわゆる「クラウド・ファンディング」についての法的枠組みの制定

本法案は、株式や社債、有限会社の会社持分等への集団投資を促進するインターネット・プラットフォームのための法的枠組みを定めている。当該枠組みはいわゆる「クラウド・ファンディング」のために、均整のとれた方法で、投資家保護を保証し、同時に、新興企業への直接投資としてのこの新しい金融商品を促進することを目的としている。

(6) 証券市場委員会(以下「CNMV」という。)の監督権の拡大

本法案は、CNMVの機能的独立の促進と監督管轄の強化を目的としたCNMVの権限改正も実施する。金融市場の活動の活発化に伴い、CNMVに対して監督、検査及び懲罰実施の権限の大半を与える。CNMVは規則を適用するためのガイドラインを作成することができ、罰則の適用権限を有するほか、証券市場で業務を行なう金融機関の許認可及び資格剥奪の管轄機関となる。

III.- 施行日

本法案は現在国会において審議中である。承認可決された後、官報で公布された翌日より施行される。

 

 

大友 美加

ヴィラ法律事務所

 

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2014年11月10日