序文

2003年7月9日付法第22/2003号を修正する2011年10月10日付法第38/2011号の施行により、負債に対して資産が不十分であると裁判官が推定する会社の倒産手続きにおいて、倒産手続き開始と終結の決定、会社の消滅合意並びに登記の抹消命令が同時に行なわれることが実務に取り入られることとなった。

課題

倒産会社がまったく資産を有しておらず、かつ、第三者との間に法的関係を有していない場合、当該倒産手続きの開始・終結同時決定は非常に迅速かつ賢明であり効果的な手続きとなる。

しかしながら、倒産法第176条bisは資産が存在しないことを要求しておらず、「倒産債務者の資産が倒産手続きにかかる債権を弁済するのに十分でないことが推測され、かつ、払戻し、異議申立て、または第三者責任といった行為がされることが予定されていないことが明らかであると裁判官が判断する」ことで足りるとしている。

したがって、資産も第三者と法的関係も有している倒産会社で、既に消滅して商業登記が抹消されているような場合には、以下の疑問を抱くことは避けられない。

  • 消滅会社の資産についてはどのように取り扱われるのか。誰に帰属することとなるのか。
  • 倒産会社が契約当事者の一方であるような法的関係についてどのように取り扱われるのか。自動的に当該法的関係は消滅するのか。
  • 倒産会社が当事者であるような訴訟手続きはどのように取り扱われるのか。当事者の訴訟能力の消滅を理由に当該訴訟手続きは終結されるのか。
  • 倒産会社の債権者は会社の資産によって弁済を受けることができるのか。倒産法の定める債権の優先順位に従わなければならないのか、それとも、届出順となるのか。

結論

残念ながら、これらの疑問について明確な統一した回答は存在せず、最高裁判所がそれらについての判例を示す機会もこれまでなかったため、原理原則の観点からいくつかの判例と見解が存在するのみとなっている。

非常事態にあるとして商業登記が抹消された会社については、民事会社または合名会社に関する規定が適用される会社を検討することで解決策を導くことができる。例えば、倒産手続きによって与えられる確実性及び安全性なしに取締役によって実施される会社資産の清算がその一つであり、この場合、取締役は適切であると思われる優先順位に従って分配をしなければならず、不適切な分配を行なったとみなされる場合には責任が生じるリスクが伴う。しかし、上記についても法的枠組みはあいまいかつ不明瞭である。

さらに、登記所及び公証人総局(Dirección General del Registro y Notariado)の2012年12月17日付決定によれば、会社において新しい資産が確認された場合には倒産手続きの再開を申し出なければならず、倒産手続き外で当該新資産を処分することはできない。

 

 

ヴィラ法律事務所

 

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2014年6月19日