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スペイン大都市では、短期賃貸マンションがますます一般的になってきており、例えばバルセロナでは、賃貸借物件市場の総供給量の30%を占めている。さらに、2023年5月24日付、一般には「住宅法」と呼ばれる住宅取得の権利に関する法律第12/2023号の施行以来、一般賃貸物件の賃料が新たに規制対象となったが、短期賃貸物件とシェアルームは対象外であったため、規制回避する代替え手段として一般化した背景がある。

常居所としての賃貸物件が市場から大量撤退された事象に対応するため、カタルーニャ州議会において4月24日付にて、緊急住宅対策に関するカタルーニャ州政令第6/2024号が可決された。当該政令では、住宅法で想定する一般賃貸物件規制措置を短期賃貸物件とシェアルームに対しても適用する措置導入するとともに、新たな情報提供義務や制裁制度を定めている。

本カタルーニャ州政令は、短期賃貸を選択する賃貸人に対し、レジャー、バケーション、娯楽、文化目的の賃貸カテゴリーを選択しない場合、住宅法に定める賃料の抑制を適用することを義務付けている。つまり、就労もしくは学業を修めるために住居を要する賃借人を対象として短期賃貸は、住宅法に定める規制、すなわち賃料の抑制や、賃貸借契約締結費用や不動産管理費の賃借人への転嫁禁止等に従わなければならない、としている。

また、短期賃貸契約では、INCASÒL(Institut Català del Sòl:カタルーニャ住宅公団、略してインカソル)に保証金を預ける際に、賃料の抑制の適用対象となるかの判断のために、賃貸の動機や目的を通知する義務も導入される。

シェアルームに関しては、賃料の合計が、物件を部屋ごとに区切ることなしで賃貸する場合の賃料限度を超えてはならないと定めている。

本カタルーニャ州政令は、賃貸広告や賃借人募集の際に、賃貸基準価格、過去5年間の有効賃貸借契約における賃料、し賃貸人が大口借主の条件を遵守しているかどうかを告知することを義務付けるなど、いくつかの広告義務を課している。

最後に、同政令に導入された、軽微、重大、極めて重大と区別された制裁制度について以下に説明する。

(i) 軽微違反には、広告義務の不履行や、賃料抑制制度に定める限度額の10%を超えない価格での物件の賃貸が含まれる。

(ii) 重大違反は、住宅法に定める限度額より10%から30%高い賃料での物件賃貸、賃貸目的に関する情報不足、契約締結費用や不動産管理費を賃借人に転嫁すること含まれる。

(iii) 住宅法に定める賃料限度額の30%超賃料での物件賃貸は、非常に重大な違反とみなされる。

 

 

ヴィラ・オスカル (Óscar Vilá)

ヴィラ法律事務所

 

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2024年5月3日