本稿では、スペインにおいて、ある顧客が一企業との間の自身の通話録音へのアクセスに関し、スペインデータ保護庁が制裁を科した案件を分析する。

具体的には、イベリア航空の顧客のケースとなる。本件申立人である顧客は、データアクセス権を行使したにも関わらず、4つの通話録音をイベリア航空社が開示しなかったと表明している。同社の回答は、「事前に裁判所命令の提出がない限り、当社は貴殿のご希望に沿うことはできません」というものであった。

結果として、自身のデータアクセス権行使に対し、企業側にて適切な対応がなかったとして、当該顧客はデータ保護庁に申立書を提出した。イベリア航空側は、申立人のデータアクセス権への対応がなかったばかりか、データ保護庁に対し実行した行為の通知も行わなかったため、制裁手続きが発生することとなり、7,500ユーロの制裁金を賦課されることとなった。

前記事実に加えて、イベリア は引き続き義務を遂行せず、申請された通話録音提出を命ずる権利保護を支持するデータ保護庁決定を下され、その提出期間を過ぎても、これを遵守しなかった。

スペインデータ保護庁は関連調査を開始し、イベリアプラスプログラム、予約データ、本件当事者間の通信等の関連情報がイベリアから申立人である顧客に対し提供されていたことを確認したが、請求されていた録音提供があったとの証拠は確認できなかった。

同時に、申立人は、法が要請する措置を講ずることなく被告に対しデータアクセス権を行使し、更には、本件権利侵害を救済するためのデータ保護局との協力を全く行わなかったことも確認されることとなった。

上記を踏まえた上で、スペインデータ保護庁は、イベリア航空社に対し40,000ユーロという制裁金を科すことを決定した。

スペインデータ保護庁は、制裁金支払い手続きの中で、制裁金額を減額のためにイベリア航空社に対し以下の2つの提案を行った。

a) 2015年10月1日付行政手続きに関するスペイン法第39/2015号第85条に基づき、課される制裁が罰金に関するものである場合、異議申立て提出のために与えられた期間内に、自身の責任の所在を認めることができるものとする。当該認識により手続きに科される制裁金は20%の減額が可能となり、本件では8,000ユーロに相当する。当該減免措置の適用により、制裁金額は32,000ユーロとなり、当該制裁金の賦課により手続きを終了するものとする。

b) 同様に、本手続きの終了前であればいつでも任意で、科された制裁金の支払いを実行することができる。その場合、金額の20%の減免措置が講じられることとなり、本件の場合8000ユーロに相当することとなる。当該措置の適用により、本制裁金は32,000ユーロとなることとなり、本金額の支払いは手続きの終了を意味することとなる。

制裁金の任意払いによる減免措置は、責任の所在の認識を、手続き開始期間として申立てを行うために与えられた期間内に表明するのであれば、同時に行うことも可能である。このように両方の減額適用手続きを行う場合、本件制裁金は24,000ユーロと設定されることとなる。

上記法的保護下、イベリア航空はデータ保護に関する義務不履行による罰金として24,000ユーロを支払った。

データ保護に関し、企業は、当該テーマの専門家に正当な助言を求めた上で、適切な保護機能を構築する必要性を、本件から再確認することができよう。

 

 

テラン・アンドレアス (Andreas Terán)

ヴィラ法律事務所

 

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2020年10月23日