スペインにおけるフランチャイズ制度とは、合意又は契約に基づき、フランチャイザーと呼ばれる会社がフランチャイジーと呼ばれる別の会社に、製品やサービスを商品化する独自のシステムを運営する権利を譲渡する事業活動と理解される。

2018年12月8日以前は、自然人又は法人(スペインで設立されていない第三国の会社を含む。)がスペイン国内でフランチャイザーとして事業活動を行う場合には、その事業活動開始より3か月以内に、フランチャイザー登録に届け出なければならなかった。1996年1月15日付法第7/1996号小売業に関する命令(以後「LOCM」という。)及び2010年2月26日付勅令第201/2010号フランチャイズ事業及びフランチャイザー登録簿へのデータ届出に関する規則(以後「RD 201/2010」という。)に規定される、データの届出及びフランチャイザーとしての登録の義務を遵守しなかった場合、LOCM第63条第1項により、重大な法律違反とされた。

しかしながら、2018年12月8日付スペイン官報(B.O.E.)にて2018年12月7日付勅令法第20/2018号スペイン産業と商業部門の競争力の強化のための緊急措置 (以後「RD 20/2018」という。)が公布・施行され、スペイン産業と商業部門の競争力強化を目的に、一連の措置が講じられた。それには損失を伴う販売(仕入れ価格以下の販売)の制限、フランチャイザー登録及び遠隔販売登録の廃止等が含まれていた。

したがって、商事のセクターについては、RD 20/2018により、これまでLOCM第62条で定められ、RD 201/2010によって規定されていたフランチャイザー登録が廃止された。

フランチャイザーのオンライン登録は2016年に開始されたが、基盤となるアプリケーションに重大な欠点があり、ユーザーにとっては複雑かつ操作しづらい仕様になっていたため、登録義務者が克服したはずの障害と要求を生み出すこととなった。

また、フランチャイズ登録所が唯一確認をしていたのは、フランチャイザーである会社が商標権の所有者又は商標を使用する権利を保有していることであり、この点は既にスペイン特許商標庁によってカバーがされていた。他方、フランチャイズ登録所の職員は、フランチャイザーより提出された商標以外のデータについて裏付けを取っていなかった。

上記を鑑み、会社に対する障害を排除し、経済活動を促進し、資源を合理化するために、RD20/2018第1条a)及びc)は、フランチャイズ事業の開始をフランチャイザー登録所に通知し、毎年のデータ更新義務規定違反に関するLOCM第65条第1項r)及びフランチャイザー登録に関するRD 201/2010のいくつかの条項を明確に廃止した 。

代わりに、*フランチャイザーが将来のフランチャイジーに対し、フランチャイズ契約又は事前合意書の締結、あるいは将来のフランチャイザーからフランチャイジーに対するいかなる支払いが行われる最低20日前には、書面にて、フランチャイズ網に加盟する意義を認識した上で加盟を自由に決定するために必要な情報を開示する義務は維持される。契約前に開示される上記情報には、特に、フランチャイザーの主要識別データ、事業活動内容の説明、フランチャイズ事業の目的 フランチャイズ事業の内容と特徴、運営状態、フランチャイズ網の構造と展開、その他フランチャイズ契約締結にあたって重要な要素となる情報が含まれる。

ヴィジャビセンシオ・カルラ (Carla Villavicencio)

ヴィラ法律事務所

 

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2018年12月28日

*1996年1月15日付法第7/1996号小売業に関する命令 (LOCM)第62条第1項