2015年4月30日付で承認された勅令法第5号によって、プロサッカーリーグの視聴覚素材の利用権(放映権)の商品化のための新しい法的枠組みが導入された。

政府は、現代サッカーが有する経済及び経営の側面と、サッカーが社会に与える影響から本規制の導入を正当化している。法の前文には、実際にサッカーをしない国民の48%がサッカーに興味を持っており、サッカーチームの応援をしている者の74.5%がその試合を見ている(有料チャンネルでの視聴も含む。)という具体的なデータが示されている。

注目すべき点

a) 各スポーツ団体が有する放映権をリーグ運営組織、すなわちLiga de fútbol profesional 及び real federación española de fútbol(プロサッカーリーグ及びスペインサッカー協会)に譲渡する義務を設ける。これにより、放映権に関する交渉をまとめて行うことが可能となり、各クラブチームが個別に交渉を行うよりも多くの収入が得られることが想定されている。

b) 本規則における収入の配分システムによると、現状では大半の収入を手にしている二強クラブ(レアル・マドリードとバルセロナ)の手元には、現状ほどの収入が残らないことになる。その一方で、本規則によらない場合、 各チームの収入が大幅に増加しない限り一部リーグのクラブチームの半分以上が支払不能状態だというのが現状である。

c) 収益の配分を受けるクラブチームは、スポーツ全般の環境改善のために、当該配分の一部を降格するチームの埋め合わせのために用いなければならない。

新規則の収入と配分システムの主な特徴は以下のものである。

  • プロサッカーのスポーツイベントの放映権の所有はクラブチームにあることを確認する。
  • 「イベント」とは、スポーツ施設にて実施される催事の開始2分前から終了後1分を経過するまでをいう。
  • プロサッカーの正式な試合に参加するクラブチームは自動的に運営組織(LFPまたはスペインサッカー協会)に放映権に関する交渉権を譲渡するものとみなされる。したがい、クラブチームはテレビ会社と直接個別に交渉することはできない。
  • 権利の商品化の一般的な条件は公表される。
  • 対戦を行うクラブチームは、独自のチャンネルを通じて遅延送出による試合の放映権を保持する(実際独自のチャンネルを保持しているクラブの数が少ないため、大規模クラブへの譲歩のように見受けられる)。また、スタジアムではライブで映像を放映することができる。
  • 権利の商品化については、独占的・非独占的のいずれの方法 でも行う事が出来る。
  • 放映権の落札者が義務を果たさない場合、放映権の販売者が契約を終了し、他の入札者に権利をあたえることが可能となるようにする。
  • 商品化の条件は、公正取引委員会(Comisión Nacional de los Mercados y Competencia)によって発行されたレポートを通じて規制される。また、条件は公表される。
  • 徴収した金銭の配分基準:

LFPからの分配は以下のとおり行われる:

–  放映権収入の90%は1部リーグのクラブチームに、残りは2部リーグのクラブチームに分配される。

– 上記分配の内、1部リーグに分配される額の50パーセント及び2部リーグに分配される額の70パーセントは、各チームに同等の割合で分配される。

– 上記パーセンテージが差し引かれた後の金額については、1部リーグは過去5シーズンの試合結果、2部リーグは直前のシーズンの結果に基づき、各チームの順位に応じて分配される(1位は17%、最下位は0.25%)

– いかなる場合でも、分配分が一番多いチームと一番少ないチームの差が4.5倍以上開いてはいけない。また、放映権収入が1.000百万ユーロを超える場合、上記の差に関する基準値は低減されていき、最終的には3.5倍となる (1.500百万ユーロ以上の収入があった場合)。

– 上記金額の精算は、初戦が開催された年の年末までに行われる。

  • クラブチームの義務: リーグに関連して、クラブチーム は収益に応じてスポーツ競技全般の促進及び向上のために、財政的な貢献をしなければならない。:

–  1部リーグ及び2部リーグから降格したチームに対して3.5%ずつ。

–   LFPに対して1%。

–  スポーツ審議会(Consejo Superior de Deportes)に対して1%。

–  女性参加スポーツの向上、2部リーグB、サッカー協会、審判、コーチ・トレーナー陣へのサポートを目的として、スポーツ審議会(Consejo Superior de Deportes)へ0.5%を上限として分配。

  • リーグ放映権の管理は、LFP内で組織された機関が行う。また、当該機関は、過去5年間における放映権収入がもっとも多かった2つのクラブもしくは団体により構成され、毎年更新される:1部リーグ参加チームにより選出された2団体; 2部リーグ参加チームにより選出された1団体;及びLFPの会長(原則議決権を有しないが、決議が同数の場合の決定権を有する)。主に、商品化、放映権の利用、管理、検討、及び監査業務管理を遂行する。
  • スペイン国王杯(la Copa del Rey)及びスペインスーパーカップ(Supercopa) の管理については、スペインサッカー協会(Real Federación Española de Fútbol)内で組織された機関によりなされるが、スペイン国王杯の決勝戦の放映権に関しては除外される。
  • 行政上の債務: 特筆するべき点として、LFPが、クラブチームの行政機関への債務の弁済 のための融資を受けるために肖像権を担保として使用できる点がある。放映権に抵当または保証が設定される場合、LFP及びスペインサッカー協会はクラブチームと連帯して租税公課及び社会保険にかかる債務につき応じることができる。

 

 

ヴィラ・エドアルド (Eduardo Vilá)

ヴィラ法律事務所

 

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2015年5月8日