いわゆる「FIDIC契約約款」とは、FIDIC(国際コンサルティング・エンジニア連盟)によって発行された、国際的に使用されている建設・エンジニアリング工事関連の一連のモデル契約のことを指す。
これらのFIDIC契約約款は、公共工事のモデル契約として各国で使用されているほか、世界銀行、米州開発銀行(IDB)、欧州復興開発銀行(EBRD)、欧州連合、国際協力機関などが融資するプロジェクトにおいても使用されている。
当該約款はコモンローに由来するが、現在ではFIDICが定期的に改訂を行っているモデル契約は、以下のように数多く存在する。
・Red Bookと呼ばれる、発注者(顧客/所有者/雇用者)の設計による工事についての約款「建設工事の契約条件書」
・Yellow Bookと呼ばれる、請負者の設計による工事についての約款「プラント及び設計施工の契約条件書」
・Silver Bookと呼ばれる、設計リスクや価格超過を契約者が負担する「EPC/ターンキー工事の契約条件書」
・Green Bookと呼ばれる比較的少額な投資を必要とするプロジェクト、もしくは単純、反復的な作業、短い期間の作業を対象とした「簡易工事の契約条件書」
FIDIC契約約款が国際的建設分野で大いに普及している主な理由、利点は、契約当事者が異なる司法管轄の出自を有する場合、外国投資に法的確実性をもたらすことにある。
FIDIC契約約款は、すべてのプロジェクトに適用される一般条件と、各プロジェクトの具体的な状況に対応する特定契約条件を定めることで、プロジェクトの各当事者が負担するリスクをバランスよく分散する。
同様に、FIDIC契約約款には、直接交渉、調停、裁定、仲裁に基づく代替的な紛争解決メカニズムが定められている。各プロジェクトの異なる工程の実行中に、実際に頻繁に使用される。
つまり、各契約の交渉や作成に先立って、設計に対する責任、価格や納期の確実性、あるいは工事後のメンテナンスなどを考慮して、特定のプロジェクトに最適なFIDIC契約約款を決定することが、リーガルアドバイザーとしての我々の業務となる。
ビジャビセンシオ・カルラ (Carla Villavicencio)
ヴィラ法律事務所
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2021年9月3日