スペインのEUデザイン裁判所第一法廷における直近の判決(アリカンテ商事裁判所第1法廷2019年5月6日付判決第106号)において、工業デザインの保護と不正競争の分野に関する問題が提示された。なお、アリカンテ裁判所には欧州連合知的財産庁(EUIPO)の本部事務所が所在する。
EU意匠及び工業デザインを保護する規則は、登録から生じる主観的権利を保護している。一方、不正競争に関する法令は、商標権ではなく、市場の適切な機能を保護し、消費者の誤解を防止することを目的としているため、保護の対象は商標の所有者ではなく、市場に参加する全ての人々と市場そのものにある。
工業所有権の違反行為と不当行為の関係は、最高裁判所で認められている、いわゆる「同心円理論」および「相対的相補性の理論または原則」を通じた科学的教義によって説明される。
本稿で言及する具体的なケースでは、グラフィックデザインスタジオのMr. WonderfulがCial Lama y DCasaに対し、被告がいくつかの問題の中でもとりわけ、以下に示す不当競争法第11条2項で定められた不当な模倣行為を行っているとして、訴訟を提起した。
(…)第三者のサービスの模倣は、それがサービスに関して消費者側に関連性を生み出したり、他人の評判や努力を過度に悪用する場合には、不当とみなされる。
前述の関連性のリスクや他人の評判を悪用する必然性は慣行の不公平さを除外する。
具体的には、Mr. Wonderfulは侵害された疑いのある登録EU意匠および工業デザインを特定せずに、独占権でなく既存の登録から推測されるようなMr. Wonderfulのデザインスタイルを特徴付ける要素を比較することを求めた。
前述の要求は、Mr. Wonderfulは市場に強く根付いており、テキスト的、グラフィック的、および色彩的の3つの要素の組み合わせからなる独自のデザインスタイルを作り出し、それが商品化されている製品に取り入れられることで、消費者はそれらの製品をMr. Wonderfulの製品として識別できるオリジナリティをもつという理解のもと裁判所により認められた。
したがって、判決では被告は不当競争法第11条2項の不当な模倣行為を犯しており、その結果Mr. Wonderfulに損失と損害を与えたと結論づけている。最終的に、判決はCial Lama y DCasa に対しMr. Wonderfulのデザインスタイルを特徴付ける要素の使用を停止し、取引の過程から撤退し、前述の要素を複製または模倣するデザインを取り入れた全ての製品を破棄し、Mr. Wonderfulが被った損失と損害に対し賠償することを命じた。
ヴィジャビセンシオ・カルラ (Carla Villavicencio)
ヴィラ法律事務所
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2019年7月5日